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岸田外相モスクワ訪問でプーチン氏遅刻は意図的な作戦、その効果は?

 岸田文雄外務大臣がモスクワを訪問し、プーチン大統領らと会談しました。今月に開催される日露首脳会談の地ならしが目的ですが、ロシア側は交渉を有利に進めるため、日本側に様々な揺さぶりをかけたようです。こうした手法はかつて共産圏の国家が得意としていましたが、果たして効果はあるのでしょうか。

 岸田氏はモスクワ訪問にあたり、まずプーチン大統領を表敬しました。しかし報道によるとプーチン氏は2時間も遅れて登場。会談はわずか30分で終了してしまったそうです。プーチン氏は岸田氏と会う直前まで、国内行事で延々と演説をしていたそうですから、大遅刻は間違いなく意図的なものと思われます。

 岸田氏がモスクワを訪問した目的は、今月に開催が予定されている日露首脳会談の地ならしです。プーチン大統領との会談は形式的なものであり、実務的な議論が行われるラブロフ外相との会談が今回の訪問における最大のヤマ場ということになります。ラブロフ外相との会談は翌日に行われたのですが、その前日に、相手を延々と待たせるという先制パンチをロシア側は繰り出してきたわけです。つまり「翌日の交渉は簡単ではないぞ」というメッセージと捉えてよいでしょう。

 案の定、翌日の外相会談では、ラブロフ外相はかなり厳しい姿勢でした。会談後の記者会見でも「有意義な会談ができた」と強調した岸田氏に対し、ラブロフ氏は「両国間の立場には隔たりがある」と発言。領土問題の早期解決は難しいとの考えを示しています。

 相手に心理的プレッシャーを与えるこうした外交テクニックは、かつて共産圏が好んで使っていたやり方です。ロシアは現在では共産国家ではありませんが、プーチン氏は独裁者に近い権力を持っていますから、現在でも旧ソ連時代の手法は踏襲されているとみてよいでしょう。

 かつて田中角栄元首相が日中国交回復を目的に中国・北京を訪問した際、部屋には田中氏の大好物であった木村屋のあんパンが大量に用意されていたそうです。これは歓迎の意味と同時に「あなたのことは何でも知っていますよ」というメッセージでもあるわけです。毛沢東主席との会談も、何の前触れもなく、突然、夜に呼び出しがかかるなど、すべて中国側のペースで行われました。田中氏はタフな政治家でしたから、まったく動じませんでしたが、精神的に弱い政治家の場合、プレッシャーに負けてしまうこともあるでしょう。

 今回のロシア側の出方はある程度、予想されていたことではあります。それでも対外的には、日露交渉を強く望んでいるのは日本側であり、ロシアは提案を受けている側だという印象を作り出すことには成功したかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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