【ワシントン西田進一郎】シュルツ米大統領副報道官は9日の記者会見で、オバマ大統領が大統領選への干渉を狙ったサイバー攻撃について再調査するよう情報機関に指示したことを明らかにした。大統領は来月の自身の退任前に調査結果を報告するよう求めており、シュルツ氏は「非常に深刻に受け止めているからだ」と説明した。
11月の大統領選を巡っては、国土安全保障省と国家情報長官が10月に声明を出し、民主党全国委員会(DNC)やクリントン前国務長官陣営へのサイバー攻撃にロシア政府が関与したと断定。ホワイトハウスは「大統領は相応の対抗措置を検討している」(アーネスト大統領報道官)と警告していた。
またワシントン・ポスト紙電子版は9日、ロシア政府がトランプ次期大統領を勝たせることを目的に、サイバー攻撃を通じて米大統領選に干渉したとする分析結果を、中央情報局(CIA)が極秘裏にまとめたと報じた。CIAは、DNCやクリントン氏の陣営幹部のメールが外部に流出した件について、関与した人物を特定していると伝えている。
シュルツ氏は、国土安全保障省や国家情報長官に加え、連邦捜査局(FBI)や司法省などが再調査に関わるとし、「選挙に合わせたサイバー空間での悪意ある行為のパターンを深く分析する」と説明。オバマ氏が当選した2008年大統領選までさかのぼって調査すると表明した。
また、モナコ大統領補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)は9日、調査結果は一般公開されないが、議会など利害関係者には伝えるとの見通しを示した。