ソーシャルレンディング (融資・貸付型クラウドファンディング)の比較とその仕組みを解説します

クラウドファンディング13

出典:maneo

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)とは

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)とは、金銭的リターンを伴う投資型(金融型)クラウドファンディングの中でも、調達者に資金を「貸し付ける」タイプのものを指します。出資者はインターネットを介してクラウドファンディングサービス会社と匿名組合契約を締結し、特定の個人や会社に資金を融資します。

他のタイプのクラウドファンディングとの違いは、クラウドファンディングサイト運営会社を通じて「金銭消費貸借契約」にもとづき個人・団体に貸付を実施する点です。

生活費が足りない時や高額の商品を購入する予算が欲しい時などに、消費者金融サービスを利用する方もいるでしょう。その際、「借りた金額を期日までに必ず返却する」ことを約束する金銭消費貸借契約書にサインしなければなりません。この契約締結により、弁済に関する法的拘束力が発生することになります。

普段お金を「借りる」立場である私たちが、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)においてはお金を「貸す」立場になります。お金を借りた個人・企業には元本の返済および利子を支払う義務があるので、出資者は金利収入を得ることが出来るのです。

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の強み

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は、調達者・出資者、双方に多大なメリットがあります。

まずは調達者の立場から見ていきましょう。事業の展開または生活のためには、出来るだけたくさんの資金を集める必要があります。それには銀行などの金融機関に融資を依頼するのが最も確実な方法ですが、返済の見込みのない相手にお金を貸すわけにはいかないので、非常に厳しい審査が実施されることになります。その結果、融資に不適と判断されたら、必要な資金を集めることが出来なくなってしまいます。

その点、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)なら出資者からの信頼があれば即座に借り入れ可能です。事業の将来性あるいはネームバリューなどを駆使するだけで出資者を集められるので、金融機関に融資を求めるより遥かに容易に資金を調達できるメリットがあります。

また、金利面でもソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の方が有利です。消費者金融系の業者からお金を借り入れると、高金利の契約を締結させられる可能性があります。利子の返済だけでも経済的負担となってしまうため、金利は少しでも低いに越したことはありません。ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)ならある程度自分で金利を設定でき、低金利での資金調達を実現することが出来ます。

そして事業を円滑に進めるうえでもソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は大変重宝します。同じ投資型(金融型)クラウドファンディングの中には非上場株式によって資金を調達する株式型クラウドファンディングがありますが、株式会社のシステム上、株主に経営権を乗っ取られかねないリスクがあります。その点、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)なら返済さえ滞らなければ出資者に事業計画に関して口出しされる筋合いはなく、株式会社特有のリスクを回避できるメリットがあります。

続いて、出資者の立場でソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)のメリットを見ていきましょう。ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は貸付契約にもとづいて行われるため、事業の成果うんぬんにかかわらず調達者側に返済の義務があります。出資金が法的に管理されているため、株式取引やFXと比べると安全性の高い投資と言えます。

また、数万円程度の少額資金でプロジェクトに投資できるのも大きな特長です。一度に数百万円規模の出資を求められるとさすがに二の足を踏んでしまいますが、1万円前後なら気軽に手を出せます。複数のプロジェクトに資金を回すことで、投資リスクを分散できるという強みもあります。

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は他の投資型(金融型)クラウドファンディングに比べて出資期間が短く、数か月~2、3年程度で回収できるので初心者にも向いています。何より金利が3~10%程度と通常の銀行預金や国債より圧倒的に高く、簡単に高利回りを期待できるのが魅力的です。

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の市場規模

クラウドファンディングには様々な種類があります。タイプ別にそれぞれの調達金を見てみると、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)が圧倒的に高いシェア率を誇っています。世界のクラウドファンディング市場全体においてその占める割合は、2012年度時点でおよそ40%、2014年度時点でおよそ70%にまで増加しています。

日本のクラウドファンディング市場においても例外ではありません。日本でクラウドファンディングが普及し始めた2011年頃は、寄付型や購入型が主流でした。その後、金銭的リターンを見込めるソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)に関心が集まり、そのシェア率は急上昇。2014年度に達成した日本国内のクラウドファンディングの市場規模およそ197億円のうち、およそ8割にあたる約160億円がソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)であると試算されています。件数そのものは少なくても、一件あたりの調達額が非常に膨大なためです。

これまで日本では金融商品取引法に代表される各種法律によって、未上場株式取引等の投資が厳しく制限されてきました。しかし、経済の活性化を促すために、これらの規制を緩和する改正金融商品取引法が2014年に成立。事実上禁止されていた株式型クラウドファンディングを含め、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)も取扱業者が容易に参入できる地合いが整いつつあります。

政府の後押しがあれば、クラウドファンディング市場がさらなる発展を見せることは確実です。今や資産運用のトレンドは、「出資」から「貸付」の時代に移り変わりつつあると言っても過言ではありません。

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の注意点

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は高利回りを見込める資産運用の手段ですが、投資である以上リスクもはらんでいます。100%安全・確実に稼げる投資など存在しません。一体どのようなことに気を付けてソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)を利用すれば良いのか、出資者の立場で注意点を見ていきましょう。

一つ目は「手数料」や「税金」の問題です。クラウドファンディングサイトを経由してプロジェクトに出資した場合、運営会社に手数料を支払わなければならないので、利子がまるまる懐に入るわけではありません。サイトや案件にもよりますが、おおむね貸付残高の年率0.5~3%程度が手数料になると考えてください。また、海外のプロジェクトの場合、為替が絡んで円収入が目減りしてしまう可能性もあります

税法上、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の利益は「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。その際、他の金融商品との損益通算は出来ません。確定申告の際には十分にご注意ください。

二つ目は、「損失リスク」の問題です。いかに調達者が金銭消費貸借契約にもとづき法的に将来の弁済義務を負っているといえども、事業が不調になって返済できなくなれば、否応なしに回収不能に陥ってしまいます。出資者と調達者の関係はまさに一蓮托生。債務不履行にでもなったら、貸し損以外の何物でもありません。

各金融機関が融資を実施する前に審査を行うように、与信判断を自己責任で行う必要があります。とはいえ、残念ながら個別の事業の実態を把握することは非常に困難です。最低限、そのプロジェクトが無事に軌道に乗る可能性や保証の有無、出資に見合う利回りが確保されているかなどのポイントはしっかり検討しましょう。

そして三つ目は、「運営会社」の問題です。現在日本国内にはソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)を取り扱っているサイトが複数存在しますが、利用するサービス選びにも注意しなければなりません。なぜなら、調達者だけでなく運営業者側にも倒産リスクが存在するからです。

貸付型クラウドファンディング事業を展開するためには、クラウドファンディング運営会社が金融庁に第2種金融商品取引業者登録を行い、自治体に貸金業者登録を行わなければなりません。会社の信頼性を見極めるうえでも、その業者がこれらの登録を行っているかどうかだけは確実にチェックしておきたいところです。

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)サイトの比較

maneo

日本初にして国内最大規模を誇る貸付型クラウドファンディングサービス。不動産の取得資金、分譲住宅建設費用、飲食店フランチャイズの開業資金、治療院の短期ローン等、銀行の融資対象にならない会社の事業用案件を豊富に取り扱っています。(成立ローン総額は2016年6月時点でおよそ485億円。)出資者は匿名組合契約に基づき、maneo株式会社に対し出資します。ローンファンドの募集が満額になってプロジェクトが成立した場合、貸付実行日に従って調達希望者に投資額を貸付。その後、金銭消費貸借契約により融資の返済金が出資者に分配されます。

顧客からの預託金は分別管理。担当者が事業計画書・資金繰り表や担保・保証の有無などの提出資料を精査し、調達希望者と面談を行ったうえで健全性をチェックしているので、どのプロジェクトにも安心して投資できる信頼性があります。

平均運用利回りは年利5.0~8.0%。運用期間は数か月~2、3年で、一口1万円程度の少額投資が可能です。利息は毎月分配されるシステムになっており、成約手数料・事務手数料等が無料なのも魅力的です。

SBIソーシャルレンディング

金融業界の大手・SBIホールディングス株式会社が100%出資している貸付型クラウドファンディングサービス。唯一総合金融グループに属しているソーシャルレンディング事業者なので、他のサイトとは一線を画す信頼性があります。独自の審査基準を満たした担保付のプロジェクトが豊富に取り揃えられており、「貸し倒れ件数0」という安全性も投資家に高く評価されています。出資者は営業者と匿名組合契約を締結し、投資金額を送金。調達者が契約締結前書面の貸付条件に同意し、金銭消費貸借契約を締結した後に貸付が実行されます。出資者は、調達者の返済金額から各種手数料・源泉徴収税を差し引いた金額を配当として受け取ることが出来ます。(事務手数料420円)

SBI証券に預けている「株式」を担保とした「SBISL証券担保ローンファンド」、「不動産」を担保とした事業者に融資する「SBISL不動産担保ローン事業者ファンド」、明確な資金使途を持つ顧客を対象としたローン事業に投資する「SBISLオーダーメード型ローンファンド」など、タイプの異なる商品が揃っているのも特徴的です。

平均運用利回りは年利2.0~6.5%。運用期間は4か月~2、3年で、一口1万円程度の少額投資が可能です。また、新規口座開設やメルマガ登録などを行うと、現金や商品と交換できるSBIポイントが付与されるお得なキャンペーンも実施されており、大手SBIホールディングスグループの強みが反映されています。

OwnersBook

不動産投資専門の貸付型クラウドファンディングサービス。プロが厳選した将来性抜群のマンション・アパート・オフィス棟などの案件が充実。本来、不動産物件のオーナーになるためには巨額の資金を必要とするため、個人投資家にとって非常にハードルの高い存在でした。しかし、クラウドファンディングを介して資金を集めることで、容易に不動産投資を行えるメリットがあります。他の個人投資家とコミュニケーションを図れるコミュニティも完備。資産運用で気になる話題を相談でき、初心者の方でも安心です。その他、クラウドファンディングの基本からお勧めの案件まで解説してくれる無料セミナーも定期的に開催されており、効率的な資産運用に関する知識を習得することが出来ます。

平均運用利回りは年利4.8~14.5%。運用期間は1か月~2年で、一口1万円程度の少額投資が可能です。会社が少数精鋭のメンバーで運営されているため、手数料は最小限に設定。会員登録・口座管理費・取引にかかる費用が無料なのも魅力的です。(払い戻し手数料は税抜300円。)

ラッキーバンク

設立からわずか1年で累計調達金額が30億を突破したことで知られる不動産担保の貸付型クラウドファンディングサービス。2016年6月時点で累計調達金額はおよそ52億円。放棄されたプロジェクトは0件。立地条件・規模・収益性等一定の基準を満たした良質な不動産を豊富に取り揃えており、安心・安全な投資を実践することが出来ます。出資者は匿名組合出資契約を締結し、ラッキーバンクに投資金を支払います。ラッキーバンクは貸付契約を締結した不動産開発業者に貸付。購入代金を支払った業者は、担保設定された不動産を取得します。元本の返済が完了するまで、不動産開発業者から支払われた返済金は収益として毎月出資者に分配されます。

平均運用利回りは年利6.0~10.0%。運用期間は数か月~3年で、一口1万円程度の少額投資が可能です。成約手数料・事務手数料等が無料なのも魅力的です。新規案件数が少ない分すぐに埋まってしまうので、チャンスを見つけたら早めに申し込むことが大切です。

みんなのクレジット

不動産の取得資金、分譲住宅建設費用、飲食店等フランチャイズの開業費用、治療院の短期ローン等、事業性資金を融資対象としている貸付型クラウドファンディングサービス。中小企業を支援するローンファンドに出資して配当を得ることが出来ます。運営会社が定める財務状況などの審査条件をクリアした案件だけが公開されており、安心して投資できる環境が構築されています。投資家はローンファンド詳細に目を通した後、デポジット(投資資金の預け入れ)を実施。募集が満額になった案件は成立となり、投資家全員の投資額が貸付実行日にしたがって調達者に貸付されます。金銭消費貸借契約に基づき、返済金は毎月投資家に分配されます。

平均運用利回りは年利1.0~12.0%。運用期間は3か月~1年で、一口10万円程度から投資が可能です。利息は毎月分配されるシステムになっており、成約手数料・事務手数料等が無料なのも魅力的です。また、複数の案件に投資するとキャッシュバックを貰える「スペシャルコンビボーナス」等のキャンペーンも充実しています。

他の貸付型クラウドファンディングサービスと比べると最低投資金額が高めに設定されているため、初心者には若干ハードルの高い存在と言えるかもしれません。その分、クラウドファンディングの投資にある程度慣れている中・上級者にとっては高配当を狙いやすいオススメのサービスと言えるでしょう。

クラウドファンディングサイト名 maneo SBIソーシャルレンディング OwnersBook ラッキーバンク みんなのクレジット
特徴 日本初にして国内最大規模を誇る貸付型クラウドファンディングサービス。運営会社の審査をパスした信頼性の高い事業系ローンファンドが揃っている。 金融業界の大手・SBIホールディングス株式会社が100%出資している貸付型クラウドファンディングサービス。各プロジェクトには担保が付いており、貸し倒れ件数0を維持している安心感がある。 不動産投資専門の貸付型クラウドファンディングサービス。最小限の出費で高利回りを狙える魅力がある。 設立からわずか1年で累計調達金額が30億を突破したことで知られる不動産担保の貸付型クラウドファンディングサービス。平均利回りが高く、資産運用にうってつけ。 事業性資金を融資対象としている貸付型クラウドファンディングサービス。2016年4月にリリースされたばかりだが、わずか数か月間で2億5000万円の調達資金額を達成している。
運営会社名 maneoマーケット株式会社 SBIソーシャルレンディング株式会社 ロードスターキャピタル株式会社 ラッキーバンク・インベストメント株式会社 株式会社みんなのクレジット
サービス開始時期 2008/10 2011/3 2014/9 2014/5 2016/4
手数料 貸付利率:実質年率15.00%以内
 
銀行振込手数料以外、出資者の負担は無し
年利1.5%(証券担保ローン)、年利2.2%(不動産担保ローン)
 
各種事務手数料420円
調達者手数料:2%程度
 
出資者手数料:振込費用(300円程度)
投資口座への入金手数料 貸付利率:実質年率15.000%以内
事務手数料0%~3%
 
銀行振込手数料以外、出資者の負担は無し