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成宮寛貴の引退、セクシャリティの暴露と、日本の芸能界について

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 12月9日、俳優の成宮寛貴(34)が芸能界からの引退を表明した。所属事務所は慰留したが、意志は固かったという。ことの起こりは12月2日発売の週刊誌「フライデー」(講談社)に、「成宮はコカインを含む違法薬物の常用者だ」という告発記事が掲載されたことにある。本人も事務所も事実無根と否定したが、9日発売の同誌でも続報が掲載され、告発者である友人男性(A)に薬物購入を依頼する電話のやりとりが詳細に記された。成宮が引退の意向を事務所に伝えたのは8日夜だったという。

 ただ所属事務所が実施した尿検査は陰性。「フライデー」にもそのことは書いてある。それでも続報は流れた。日刊スポーツでは『関係者によると、成宮は2日の報道後、所属事務所側から検査を促されたが、病院で検査を受けることを拒否し、自分で調達した簡易キットで検査をした。結果は陰性だった』と書かれている。

 報道各社に送られた成宮の直筆ファックスには、「心から信頼していた友人に裏切られ複数の人達が仕掛けた罠(わな)に落ちてしまいました」「今後芸能界の表舞台に立つ仕事を続けていき関係者や身内にこれ以上の迷惑を掛ける訳にはいかない。少しでも早く芸能界から去るしか方法はありません」とあり、薬物疑惑に関してはあくまでも潔白であるとの立場を貫いている。「罠に嵌められた」という表現をするということは、友人の証言が虚偽であると言いたいわけであろう。また、自宅に招き入れるほど親密で信頼していた友人に、盗撮されたことがどれほどの衝撃だったか。

 成宮がショックを受けたのは違法薬物使用の疑惑を報じられたことだけではなく、「心から信頼していた友人に裏切られ」たこと、そして同じファクスに綴られている「この仕事をする上で人には絶対知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい」「今後これ以上自分のプライバシーが人の悪意により世間に暴露され続けると思うと、自分にはもう耐えられそうにありません」。彼自身のセクシャリティがゲイあるいはバイであるかどうか等、何も確定していないが、第一弾であった2日の「フライデー」記事には、情報を提供したAが、成宮に性的に迫られて「気味悪かった」、恋人のように振る舞うことに憤りを感じた、との旨が記されていた。あからさまに性志向を暴露する意図を伺わせるものだったのである。

 しかし違法薬物使用の疑惑を伝えるにあたって、この部分は必要だったか。言うまでもなく不要だ。違法行為の有無とセクシャリティには何の相関もない。アウティング(本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性自認等の秘密を暴露する行動)は暴力に等しい。本人の意志に反してアウティングをしたり、極めてプライベートな情報を暴露するようなことはあってはならない。自らのプライバシーを他人に知らせるかどうか、判断できるのは本人のみだ。

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ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。

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