北朝鮮人権侵害の問題めぐり政府主催シンポ

北朝鮮人権侵害の問題めぐり政府主催シンポ
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拉致をはじめとする北朝鮮による人権侵害の問題の解決に向け、国際連携の在り方を話し合う政府主催のシンポジウムが開かれ、連携の強化とともに、北朝鮮の市民に向けて情報を発信していくことも大切だといった意見が出されました。
政府の拉致問題対策本部が東京で開いたシンポジウムには、内外から専門家や政府関係者が出席しました。

加藤拉致問題担当大臣は「北朝鮮は、拉致問題に真摯(しんし)に取り組もうとせず、核実験や弾道ミサイル発射などの挑発行動を繰り返している。拉致問題は基本的人権という人類普遍の価値を有する国際社会への挑戦でもあり、解決のためには国際社会とスクラムを組むことが重要だ」と述べました。そのうえで、加藤大臣は、「『対話と圧力』、『行動対行動』の原則のもと、北朝鮮に対する高まる圧力をてことしながら、対話を通じて、すべての拉致被害者の方々の帰国に向けた具体的な行動を北朝鮮から引き出していく必要がある」と述べました。

韓国のイ・ジョンフン(李政勲)北朝鮮人権国際協力大使は「日本と韓国が抱える拉致問題を含む、北朝鮮の人権問題の改善には、国際社会の連携が欠かせない。こうした圧力が強まると、北朝鮮が挑発行為に出る可能性もあるが、国連の安全保障理事会で採択された制裁を着実に実施していくことが重要だ」と述べました。

また、北朝鮮の元外交官で、1996年に韓国に脱北したヒョン・ソンイル(玄成日)氏は「キム・ジョンウン(金正恩)政権になって以降、北朝鮮の人権状況は悪化している。北朝鮮の市民は人権という言葉を知らないので、内部に情報を入れ人権意識を持つよう働きかけていくことも大切だ」と指摘しました。

シンポジウムを傍聴した拉致被害者の家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは「北朝鮮の人権状況を改善するため国際連携の議論を深めることは大事ですが、拉致被害者の帰国に向けては日本政府が責任をもって戦略的に取り組んでもらいたい」と話しました。