【箱根への道・青学大】V3と年度3冠へ…田村、個人3冠狙う!

2016年12月9日10時0分  スポーツ報知
  • 青空の下でトレーニングを行う(左から)下田、一色ら青学大の選手たち
  • 順調な調整に笑顔を見せる田村和
  • 練習後、指示を出す原監督(右から2人目)

 第93回箱根駅伝(来年1月2、3日)まで、あと24日に迫った。「箱根への道」では直前特集として全21チームを日替わり連載。第1回は箱根3連覇と年度3冠を狙う青学大。今季の出雲駅伝、全日本大学駅伝を含め、学生3大駅伝で5回の区間賞を獲得している田村和希(3年)はチーム&個人3冠の同時達成という史上初の快挙を狙う。さらに、びわ湖毎日マラソン(来年3月5日)への初挑戦を決意。一色恭志(4年)、下田裕太(3年)らと共に箱根をステップに世界を見据える。

 原晋監督(49)は田村和を「駅伝男」と呼ぶ。「タスキをかけると想定した通り、あるいは想定以上の仕事をする。今回の箱根でも頼りにしていますよ」と絶対の信頼を寄せる。

 学生3大駅伝の実績は圧巻だ。6回出場し、区間賞5回。唯一、区間賞を逃した昨年の全日本3区も1秒差の2位だった。区間賞獲得率は驚異の83%。田村和が区間賞を獲得したときのチーム勝率は100%だ。「チームのために走ると力が湧き出てくる」と力強い。

 出雲、全日本を完勝し、史上4校目の年度3冠へ王手をかけた青学大。両駅伝で区間賞の田村和はチーム&個人3冠の同時達成という史上初の快挙の可能性もある。1、2年時には4区で区間賞を獲得し、連覇に貢献。今回も優勝と区間賞を奪えばチームと個人でV3と3冠を成し遂げる。トリプル3を超えた「クアドラプル3」となる。「欲張りなので狙っていきたい。今回は3区と7区の準備をしている。どこでも来い!という感じです」と頼もしい。

 箱根駅伝の後には、さらに大きな勝負に出る。びわ湖毎日でマラソンに初挑戦する。今年2月の東京マラソンで青学大は4人が挑戦。出場を見送った田村和は現地で応援し、同期の下田らの活躍に発奮した。「その翌日、原監督と話し合って、1年後に初挑戦することを決めた。次の東京マラソン(来年2月26日)でも一色さんと下田は活躍すると思う。2人の刺激を受けて、1週間後のびわ湖を走ります。後出しジャンケンみたいだけど」と表情は明るい。

 箱根駅伝は「世界で通用する選手を育てる」という理念を掲げ創立された。王者、青学大の一員である以上、理念を追い求める義務がある。「24年五輪のマラソンで世界と勝負したい」と田村和。「駅伝男」は「マラソン男」に化ける可能性を秘めている。(竹内 達朗)

 ◆戦力分析 死角は限りなく小さい。「2チーム出してもシード権(10位以内)が取れる」と原監督が豪語するほど選手層は厚い。直近の3大駅伝6戦5勝、2位1回とロード適性に疑いはない。エース区間も万全。花の2区は3年連続となる一色が構える。2.4キロ延長され「準エース区間」となる4区はタフガイの下田が控える。さらに今季、絶好調の田村和に加え、前回3区1位の秋山も一時のスランプを脱して復調している。

 唯一の懸念は「3代目・山の神」神野大地(現コニカミノルタ)が抜けた5区。貞永か梶谷の起用が濃厚。「6区は前回2位の小野田と前々回2位の村井がいる。山はセットで考えれば、5区は5位でまとめてくれれば十分」と指揮官は明かす。

 V3&3冠に向けて原監督体制で挑む9度目の箱根路。恒例となった指揮官命名の「○○大作戦」が成功する可能性は高い。

 

 ◆田村 和希(たむら・かずき)1995年7月16日、山口・岩国市生まれ。21歳。玖珂中時代はサッカー部。西京高1年で本格的に陸上を始める。3年で全国高校駅伝3区4位。2014年に青学大経営学部入学。自己ベストは5000メートル13分43秒22、1万メートル28分18秒31(青学大記録)、ハーフマラソン1時間2分22秒。家族は両親と弟2人。168センチ、50キロ。

 

 ◆青学大陸上部 1918年創部。箱根駅伝には43年に初出場。2009年に史上最長ブランク出場となる33年ぶりの復帰を果たす。15年に初優勝、16年は完全Vで連覇。出雲駅伝は優勝3回(12、15、16年)。全日本大学駅伝は今季初V。タスキの色はフレッシュグリーン。長距離部員は選手44人、学生スタッフ12人。主なOBは神野大地(コニカミノルタ)、トライアスロン選手の大谷遼太郎ら。

 ◆一色ら3人は東京 昨季、マラソン界に本格参戦した青学大は今季も果敢に5選手が42.195キロに挑む。一色、下田、中村祐紀(3年)が東京、田村和がびわ湖毎日、小田俊平(3年)が静岡(来年3月5日)に出場予定だ。

 今年2月の東京マラソンに4選手が出場。当時19歳の下田が10代日本最高記録の2時間11分34秒で日本人2位の10位、一色が2時間11分45秒で同3位の11位に食い込み、リオ五輪代表候補に挙がった。

 前回、後輩の下田に後れを取ったエースの一色は「次は日本学生記録(2時間8分12秒、中大・藤原正和)を目指して走ります」。東京、びわ湖はロンドン世界陸上の代表選考会。一色が目標をクリアした場合、代表入りに大きく近づく。下田、田村和も代表入りの可能性を秘める。原監督は「青学大から代表選手を送り込み、日本マラソン界に新風を吹き込みたい」と意気込んでいる。

 

 ◆3兄弟山口代表 “駅伝男”田村和は“駅伝兄弟”でもある。社会人・大学2区間、高校3区間、中学2区間の計7区間48キロで争う全国都道府県対抗男子駅伝(来年1月22日)に友佑(岩国工3年)、友伸(玖珂中3年)の2人の弟と共に山口県代表に選出。元実業団ランナーの父・育明さん(50)もスタッフ入り。「3兄弟で一本のタスキをつなぐことは楽しみ」と笑顔で話す。

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