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諏訪湖試験地に淡水性シジミ 漁場復活に期待

試験地で採取した貝類。中央の列が淡水性のシジミ=諏訪市の諏訪湖畔で

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 諏訪湖の環境改善を目指し、県がシジミの成育状況を調べるために諏訪市渋崎沖に造成した試験地で、放流したヤマトシジミとは異なる淡水性のシジミの生息が確認された。今では湖流入河川の河口付近にわずかに残るマシジミとみられ、諏訪湖漁協の藤森貫治組合長は「底生生物がすみやすい場所ができた証し」と、シジミが採れる諏訪湖の復活に期待を寄せた。

 県は昨年度、渋崎沖に広さ約二千五百平方メートル、最深一・二メートルの遠浅の砂地を造成。ヤマトシジミを放流して成育や生残状況を調べている。ヤマトシジミは本来、汽水域に生息し、淡水域でも成長はするが繁殖はしない。

 十一月中旬、この試験地でヤマトシジミ以外の貝類が見つかり、漁協が沖合百十五メートル付近で専用の道具を使って一平方メートルほど砂地をかいたところ、マシジミとみられる淡水性のシジミをはじめ、イシガイ、カワニナ、タニシの計四種の貝類が採れた。

 諏訪湖では大正時代に年間五百トンものマシジミが採れたという。水質悪化により現在の漁獲量はほぼゼロだ。マシジミは成貝になると二十〜三十ミリの大きさになるが、今回採取した淡水性のシジミ十個の大きさは三〜十五ミリの範囲で、藤森組合長は「近くの河川の河口から卵が試験地へと流れてきてすみ着いた」とみている。

 一方、試験地に昨年度放流したヤマトシジミの生残率は約80%だった。県は諏訪市湖岸通り沖にも約一万平方メートルの試験地を新たに設ける。

 県諏訪建設事務所の田代幸雄所長は「底生生物の復元が大事。それが諏訪湖の水質改善、漁場の復活へとつながる」と話している。

 (中沢稔之)

 

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