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ロードバイク 狭い視野  

◆見え方 車の「ながらスマホ」と同じ

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 速度が出るロードバイク型の自転車に乗っている時の周囲の見え方は、車の「ながらスマホ」運転と似ている−。そんな結果が、本紙と専門家による実験で明らかになった。「(顔を上げると)目の前に人がいた」という運転者の証言もあり、専門家は「乗る側が危険性を認識し、場面に応じて速度を落とす必要がある」と警鐘を鳴らす。

 実験は十一月末、愛知工科大の小塚一宏教授(交通工学)の協力を得て、視線の動きを追う特殊カメラを着けた学生ら四人で実施。一般に「ママチャリ」と呼ばれる軽快車とロードバイクを乗り比べ、見え方の違いを調べた。

 軽快車の場合、上半身が起きた姿勢のため、視線が縦、左右方向とも幅広く動いていることが確認できた。これに対し、サドルが高いロードバイクは前傾姿勢になるため視界全体が下向きとなり、視線も手前五メートル前後の路面に集中。数十メートル先を見る縦方向の視線の動きはあるが、左右方向は軽快車の半分以下の範囲(角度)しか見ていなかった。

 「ながら運転」の危険性を研究する小塚教授によると、視界自体が下を向き、縦方向に限られる視線の動きは、スマートフォンのながら運転と共通する見え方。前方の脇から出てくる歩行者などに気づくのが遅れやすいという。

 実験に参加した男子学生(22)は「ロードバイクはこぐのをやめたら周りを見る余裕があるが、こいでいると前傾姿勢なので周囲になかなか目を向けられない」と話した。

 時速四十キロで走った場合、一秒だけ下を向いてもその間に十一メートル進む。小塚教授は「せめて街中では低速で走るなど、乗る側が安全に配慮すべきではないか」と指摘する。

(名古屋社会部・河北彬光)

◆県内でも危機感 自転車事故、毎年80〜110件

 ロードバイクは、趣味や健康志向の高まりなどで乗る人が増えている。自転車産業振興協会によると、ロードバイクなどのスポーツタイプの自転車は二〇一三年に一店舗あたり平均二十二台が販売され、十年前の三・五倍に伸びている。

 静岡県内では、県警交通企画課によると、今年までの五年間、ロードバイクの重大事故は確認していない。県内の交通事故件数は過去十年で二割弱減った一方、自転車と歩行者の事故は毎年八十〜百十件で増減を繰り返しており、同課の大村彦彰次席はロードバイクに危機感を持つ。「スピードが出るので止まりにくい。横断歩道や人が多い場所では危険を生むだろう。信号無視や一時停止義務違反をせず、注意力を持って走ってほしい」と呼び掛ける。

(河北彬光、山田雄之)

 

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