福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院にタクシーが突っ込み3人が死亡した事故で、タクシーの運転手は現場近くの公園から病院方向へ約300メートル直進して激突したとみられることが4日、目撃者らの話で分かった。数十メートル手前で急加速したとの目撃情報もある。福岡県警博多署はドライブレコーダーを押収。衝突直前の走行状況を詳しく調べる。
事故では20代女性も重体となったほか、6人が軽傷を負った。
捜査関係者によると、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕された個人タクシー運転手、松岡龍生容疑者(64)は3日夕の事故直前、病院の南東約300メートルにある公園の公衆トイレに立ち寄ったという。その後、病院方面に直進して事故を起こしたとみられる。
目撃者によると、タクシーは病院の数十メートル手前から急加速したように見えたという。松岡容疑者は博多署の調べに「ブレーキを踏んだが止まらなかった。ギアを変えてエンジンブレーキもかけようとしたが減速しなかった」と供述。同署は容疑を過失運転致死傷容疑に切り替えて調べている。
タクシーはハイブリッド車。道路運送車両法はタクシーに3カ月ごとの定期点検整備を義務付けている。
亡くなった博多区の無職、花田盛幸さん(44)と妻で会社員の美佐代さん(44)、同区の無職、遠藤一行さん(53)の3人は、病院東館1階のラウンジにいた。3人は知人同士で、花田さん夫妻は入院中の遠藤さんの見舞いに来ていたという。
現場には4日午前に献花台が設けられ、病院関係者らが黙とうをささげた。花を手向ける人も次々と訪れた。
事故は3日午後5時ごろ発生。松岡容疑者のタクシーが病院のラウンジに突っ込み、来院者ら10人が巻き込まれた。