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正体は「殺人犯はそこにいる」(新潮文庫)

「文庫X」を企画した長江貴士さん(左)と著者の清水潔さん=盛岡市盛岡駅前通の盛岡駅ビル「フェザン」で2016年12月9日午後5時38分、藤井朋子撮影

 ブックカバーで題名や著者を隠して販売し、異例の売れ行きになった1冊の本「文庫X」について、企画した盛岡市の「さわや書店フェザン店」は9日夕、「殺人犯はそこにいる」(新潮文庫)だったと明らかにした。著者のジャーナリスト、清水潔さん(58)も盛岡に駆け付け、「こんな大きなうねりになるとは夢にも思わず、びっくりしている」と驚きを隠さなかった。

     「殺人犯はそこにいる」は1979~96年に栃木、群馬の県境近くの半径10キロ圏内で、4人の幼女が殺害され、1人が行方不明になった「北関東連続幼女誘拐殺人事件」を題材にしたノンフィクション。3年前に出版された。事件の一つ「足利事件」については、決定的な証拠とされたDNA型鑑定などへの疑問をあぶり出し、無実を訴えていた男性は再鑑定の結果、再審の道が開かれ、無罪となった経緯が描かれている。

     司法機関による冤罪(えんざい)や、真犯人が逮捕されない不条理を、地をはうような取材で告発する硬派な内容に、同店店員の長江貴士さん(33)は「普通の売り方では売れない」と考えた。内容を伏せ、本への熱い思いをつづったオリジナルカバーで包み、7月下旬から販売。現在、47都道府県の書店650店以上に広がり、販売開始時点で初版の3万部だったが、18万部まで重版されている。

     清水さんはこの日、「事件は解決されておらず、司法はきちんと真犯人を裁いてもらいたい。またこの事実をたくさんの人に知ってもらいたい」と、改めて執筆の思いを語った。【藤井朋子】

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