こんにちは、かみーじょ(@kamiiiijo)です。
連載「おしえて企業さん」第7回は、1972年に発売し40年以上もの間愛され続けている、江崎グリコの「プッチンプリン」。
2013年に“世界一売れているプリン”としてギネスに登録されたことをご存知でしょうか。
そんな国民的プリン「プッチンプリン」のことをどれだけ知っていますか?
社長に「売れるわけない」と言われても開発を続けた

江崎グリコ公式サイト
江崎グリコは公式サイトで、『プッチンプリン』の開発秘話を描いたマンガプリンに賭けろ!~プッチンプリン物語~ を公開しています。
――マンガの中で、社長が「プリンは絶対売れない」と断言したシーンがありましたね。当時の社内の反応はいかがだったのでしょうか。
江崎グリコの中川さん:当時グリコでは、高品質な牛乳やヨーグルト等の乳製品を中心に販売していました。
そのため、デザートであるプリンは市場規模が小さく、あまり重要視されていませんでした。
また、プラスチック容器入りのプリンは、既に他社が発売していましたので、開発担当者は美味しいだけでなく、他社には無い魅力を持ったプリンを提案する必要がありました。
――社長に反対されてもプリン開発を進めたモチベーションは何でしょうか。
中川さん:グリコの企業スピリットとして、「創る・楽しむ・わくわくさせる」があります。
新しいものを創り出すのは苦しい仕事ですが、創意工夫によってそれを楽しみに変えることができます。
開発担当者は、洋菓子店でのプリンの人気がダントツだったこと、他社のプリンも良く売れていることから必ず売れると確信していました。
さらに、洋菓子店で“プッチンする”アイデアを閃いて以降、決して諦めない不屈の精神で開発を進めました。
社長に少しでもプリンに関心を持ってもらうため、社長の食事にプリンを添えたことも多々ありました。

江崎グリコ公式サイト
マンガによれば、洋菓子店でゼリーのカップ容器の底に穴をあけ、皿にプルンと取り出す場面を目撃し、“プッチンする”アイデアが生まれたそう。
それを企業スピリットと掛け合わせ、グリコらしいわくわくする商品が誕生しました。
発売当初の商品名は『グリコプリン』だった
実は発売当初は『グリコプリン』という名前でした。

(左)初期グリコプリン (右)現在プッチンプリンBig
――「グリコプリン」から「プッチンプリン」に改名したのはなぜでしょうか。
中川さん:『グリコプリン』より『プッチンプリン』の方が、最大の特徴である「つまみを折ると、プリンがプルルンと出る」ことがお客様に伝わると考えたためです。
確かに、名前にプッチンという音が加わることで、商品の特徴を想像しやすくなりますね。
社内もザワついた個性的な限定フレーバー
2010年から様々な限定フレーバーを発売しています。
中でも、江崎グリコの社内で驚きが多かったフレーバーTOP3を聞いてみました。
1位:プッチンプリンいちご(2010年発売)

プッチンプリンいちご
中川さん:35年間ずっと一途にオリジナルフレーバーを守ってきた『プッチンプリン』でしたが、その禁を破ったのが2010年発売の『プッチンプリンいちご』。
カラメルソースの代わりに、いちごソースを使った『プッチンプリン』初のフレーバー商品でした。
発売後は大きな反響を呼び、予想を大幅に上回る人気で品切れ店が続出しました。
テレビCMも一時中止するなど、世間でも社内でも大変話題になった商品です。
2位:プッチンプリンソーダ(2010年発売)

プッチンプリンソーダ
中川さん:大好評のいちごフレーバーに続き、第2弾は「チョコレート」や「バナナ」といった定番フレーバーを期待する声が多く寄せられました。
しかし、当時の担当者は、お客様を驚かせるようなフレーバーを作りたいと考え『プッチンプリンソーダ』を発売。
社内からは“プリンとソーダという異色の組み合わせは本当に合うのか?”といった反発の声も多かったですが、発売後は見た目と味の驚きにより反響を呼びました。
3位:男のプッチンプリン<おつまみ冷奴風>(2012年発売)

男のプッチンプリン<おつまみ冷奴風>
中川さん:『プッチンプリン』40周年を祝して、豆乳をベースにしたプリンに、醤油と生姜を効かせた出汁ソースが入った、甘くない冷奴風プリンを発売しました。
社内でも賛否両論の商品でしたが、インパクト抜群のプリンにマスコミから取材が殺到し、SNSでも話題になりました。
豆腐売り場で販売されるなど、話題性の高さで人気を呼びました。
斬新なアレンジレシピを公開している
江崎グリコの公式サイトで、プッチンプリンのアレンジレシピを公開しています。
可愛らしいデコレーションレシピが多い中、個人的に気になったのはこの2つ。
①スライスプリン

スライスプリン
プッチンプリンを凍らせて、羊羹のようにスライスした和テイストのアレンジレシピ。
こうして楊枝で切ってプリンを食べたことはないので驚きでした。
②ドームプリン

ドームプリン
透明なゼリーの中にプリンを閉じ込めた、想像を超える斬新なアレンジレシピ。
ゼリーとプリンの絶妙に異なる食感を楽しめます。
アレンジレシピのアイデアは、SNSの口コミ、プロのシェフのレシピ、最近のトレンド等、様々なヒントをベースに生み出されているそうです。
4本のつまみが付いたプリンがあった
フレーバーやアレンジレシピに留まらず、プリンの容器にも遊び心を取り入れています。

Happyプッチンプリンハロウィンデザイン
今年のハロウィンに発売された「ハロウィン仕様のHappyプッチンプリン」は、底のつまみが4本あり、どれか1本だけがプッチンできる仕様。
そんなゲーム感覚でも楽しめるデザートってなかなかないですよね。
愛される理由は「楽しさとおいしさ」
――『プッチンプリン』が40年以上も愛される理由をどのように考えていますか。
中川さん:いつの時代も、お客様に楽しさとおいしさを提供すること、何よりも笑顔を届けたいという想いが、国民的プリンとして長く愛される理由だと思います。
2013年には、累計販売数約51億個を突破し、「世界一売れているプリン」としてギネスに認定されたことも、その結果だと考えています。
食べておいしいだけでなく、グリコらしい「楽しい」プリンを追求したことが、いつまでも私たちの心を掴んでいる秘訣だったのですね。
社長の反対を鵜呑みにしていたら誕生していなかった「プッチンプリン」。
まさに開発担当者の熱い思いが生んだ、奇跡の一品です。
今後も、その熱意と遊び心で私たちを楽しませてくれることを期待しています!
【関連記事】
第1回:キユーピー株式会社の「シンボルマーク」にまつわる6つのこと
第2回:富士フイルムの『写ルンです』がデジタル化に負けないワケ
第3回:ノリの容器にプリン!「フエキ練乳ミルクプリン」開発エピソードを聞きました
第4回:夏にも女性にも飲んでほしい!40年以上甘酒を売る森永の次の戦略
第5回:『フルーチェ』が40年以上も愛され続けるワケは?開発秘話、こだわりの食べ方、幻の商品に迫る
第6回:「昼夜でデザインが変わるTシャツ」はなぜ作られた?反射材メーカー×アパレルのコラボに迫る



