政府・与党 医療・介護分野で高齢者負担増の案 詰めの調整へ

政府・与党は、来年度の予算編成をめぐり、70歳以上の人の医療費の自己負担上限額を引き上げる措置など、医療・介護分野で高齢者らの負担を増やす案について、来週前半の取りまとめを目指して詰めの調整を進める方針です。
政府は、増大する社会保障費を抑制しようと、来年度予算案の概算要求で6400億円と見込まれている社会保障費の伸びを5000億円程度に抑える方針で、厚生労働省は、予算編成に向けて、医療・介護分野で高齢者らの負担を増やす案を示しています。

このうち、医療分野では、毎月の医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度を見直して年収およそ370万円以上の70歳以上の人の自己負担上限額を現役世代並みに引き上げる一方、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度で専業主婦らの保険料を最大で9割軽減している特例を段階的に縮小するなどとしています。

また、介護分野では、1人暮らしの場合は年収383万円以上など、現役世代並みの所得がある65歳以上の人について、介護サービスに対する自己負担の割合を再来年8月に2割から3割に引き上げる一方、40歳から64歳の人が支払う介護保険料について、健康保険組合などの加入者の数で頭割りする今の仕組みから、収入に応じて負担額を決める総報酬割に段階的に切り替えるなどとしています。

ただ、医療分野の高額療養費制度の見直しをめぐっては、年収およそ370万円未満の70歳以上の人のうち、住民税が課税される人の外来の自己負担上限額を現在の1万2000円から引き上げる措置に対し、与党内に「高齢者にとって負担が重くなりすぎる」という異論があります。

このため、政府・与党は、引き上げ幅を半分程度に抑制したうえで年間の自己負担額に新たに上限を設けることなどを検討していて、来週前半の取りまとめを目指して詰めの調整を進める方針です。