9日
19時09分

逮捕の麻薬取締官 “協力者”の覚醒剤密輸見逃しか

 麻薬取締官の男が警視庁に逮捕された事件です。警視庁が、情報提供者の覚醒剤の密輸を見逃していた可能性があるとみて、取締官の男から任意で事情を聴いていたことが分かりました。

 虚偽有印公文書作成・行使の疑いで、9日朝、東京地検に身柄を送られた厚生労働省の麻薬取締官、奥村憲博容疑者(46)。奥村容疑者は、今年2月から4月にかけて、取り調べを行っていないにもかかわらず、ウソの供述調書2通を作成したなどとして、8日、警視庁に逮捕されました。

 「奥村容疑者が勤務していた麻薬取締部の横浜分室です。警視庁が先月、こちらを家宅捜索した際、ウソの調書が見つかったということです」(記者)

 奥村容疑者は、覚醒剤の取引について、無職の男(50)との会話を元に、ウソの内容の調書を書いて、第三者に対する捜索令状を横浜簡易裁判所に請求。この令状を元に、電話の通話履歴が差し押さえられていました。

 「調書の作成は1人でやった」(奥村容疑者)

 奥村容疑者は調書を作る際、無職の男の名前で署名したうえで、印鑑を押したということです。この無職の男、香港から横浜市内に覚醒剤およそ1キロを密輸したなどとして、今年9月、警視庁に逮捕されていました。

 「密輸した事実に間違いない」(無職の男)

 捜査の過程で、男が奥村容疑者の情報提供者だったことが分かったのです。そして、捜索の押収物を分析した結果などから、警視庁が、奥村容疑者が、男の覚醒剤の密輸を見逃していた可能性があるとみて、先週、奥村容疑者から任意で事情を聴いていたことが新たに分かりました。

 「覚醒剤の密輸を手伝ったりはしていない」(奥村容疑者)

 奥村容疑者は密輸事件への関与を否定していますが、男に警視庁の捜査が及んでいる際も、男と頻繁に電話で連絡を取り合っていたということです。

 「麻薬取締官の場合は、捜査の端緒というのは何らかの必要な情報を得なくてはならない。情報提供者が必要なんです」(元近畿厚生局麻薬取締部長 西山孟夫氏)

 麻薬取締官と情報提供者は「ギブ・アンド・テイクの関係だ」という、麻薬取締部OBの西山氏。犯罪が発覚しても監視を続ける「泳がせ捜査」などを駆使し、捜査や情報収集を行いますが、密輸の「見逃し」が行われていたのだとすれば、犯罪行為そのものだと指摘します。

 「(密輸の見逃しは)自分らが責任を果たすためにやっている行為そのもの。それが協力者であろうと、情報提供者であろうと、それが見つかれば検挙しないといけない」(元近畿厚生局麻薬取締部長 西山孟夫氏)

 勤務していた横浜分室では幹部に当たる存在だったという奥村容疑者。

 「飛びぬけて優秀で宝といえる存在。ベテランで国際捜査も担当していた」(麻薬取締部関係者)

 奥村容疑者を知る人は・・・

 「(髪を)茶色くしていた。高級車に乗ってたり、お金持ちなのかなって感じ」(奥村容疑者を知る人)

 警視庁は、奥村容疑者が捜査を有利に進めるために情報提供者の男との接触を繰り返していたとみて、2人の関係などについて詳しく調べています。(09日17:15)

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更新日時:12月10日 2時2分

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