野村克也100の言葉では、元野球選手である野村克也さんが野球を通じて、人間が成長するために必要な100の言葉が紹介されています。この本では、何が書かれているのか詳しく紹介しましょう。
指揮官に求められる能力
野村克也さんは、監督時代に日本一になって当たり前という風潮が漂うほどの天下無敵だった西武ライオンズ黄金期と互角以上の戦いをした名監督として知られています。
嫌われる覚悟
監督時代の野村克也さんは、決して評判の良い監督ではありませんでした。選手には厳しく指導したり、メディアにはぼやいたりするので、メディアから悪く書かれていました。そんな野村克也さんは、この本で嫌われる事を恐るなと強く主張しています。
好かれなくてもよいから、信頼はされなければならない。嫌われることを恐れている人に、真のリーダーシップはとれない。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)20ページ
現在の日本のプロ野球の監督は、嫌われる事を恐れて保身に走っていると嘆いています。時には選手に嫌われる覚悟をもたなければ、厳しく指導出来ないという事なのでしょう。
「叱る」と「怒る」の違い
野村克也さんは選手を指導する時は「怒る」のではなく「叱る」を意識していました。そして叱るは褒めると同じ事だと主張しているのです。
「叱る」と「褒める」は同義語だ。情熱や愛情がないと、叱っても、ただ怒られているというとらえ方をされる。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)26ページ
怒ると叱るは、一見同じように見えますが、怒るのは失敗して頭にきて感情的に当たり散らす事を言います。それにひきかえ、叱るというのは選手に成長して欲しいから指導している事を意味します。
つまり自分のストレスを発散するために指導しているのか?それとも相手のためを思って指導しているかの違いという訳ですね。
プロセスを重視
この本で、野村克也さんは監督として選手の能力を伸ばしてチームを強くするための方法を数多く紹介しています。時には、見逃し三振をしたとしても結果では叱らないのが野村流でした。
結果論で叱ってはいけない。プロセスが大事。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)28ページ
野村克也さんは、結果ではなくプロセスを重視していたのです。投手が打たれても、打者が三振しても向かっている方向が間違っていなければ叱りませんでした。なぜなら、正しいプロセスだったとしても、結果が出ない事が怒ってしまうと次の試合で悪影響が出るからです。
選手として成長する方法
野村克也さんは監督だけでなく選手としても優秀で、その通算成績は、657本塁打(歴代2位)・2901安打(歴代2位)という輝かしい記録を打ち立てています。
殴られたほうは忘れない
野村克也さんはプロ4年目で、初の本塁打王に輝きましたが、次の年になったらパタリと打てなくなったと紹介しています。そんな時に先輩が近づいてきて
殴った方は忘れていても、殴られた方は忘れていない。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)54ページ
先輩にそう言われた時に、野村克也さんはホームランを打ったほうは覚えていても、ホームランを打たれた投手は忘れないで徹底的にマークしてくる事を思い知ったのです。そのため、一時的に成功したとしても、油断しないで、つねに勉強する姿勢を崩してはいけないのでしょう。
挫折が教えてくれる事
誰もが挫折や失敗はしたくないものでしょう。しかし、野村克也さんは考え方が違います。
人は挫折を経験して、初めて謙虚になれる。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)66ページ
失敗したら、人はどうして失敗をしたのか?その理由を探そうとします。やはり成功した時に、なぜ成功したのだろうか?と考える方は少ないでしょう。野村克也さんは挫折した時こそ、反省や研究をして選手として、人間として成長出来ると考えているのです。
小さなプライドが妨害
野村克也さんは、小さなプライドの選手ほどヘボな選手が多いと主張しています。
ちっぽけなプライドこそ、その選手の成長を妨げる。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)88ページ
私は、この言葉を読んで思い出した事があります。それが西武ライオンズの安打製造機「秋山翔吾」選手が2015年にプロ野球記録を塗り替えた年間の安打数216!実は、秋山翔吾選手は2014年に123安打しか放っていません。ここまで秋山翔吾選手の記録を劇的に変えた要因が、7歳年下の同じ西武ライオンズの森友哉選手のバッティングフォームを参考にした所にあります。
野村克也さんはバットの握り方をかえて本塁打を打っていましたが、ヘボな選手は小さなプライドが捨てきれなくて、変わる事が出来ないと言っています。
結果が出てくる時期
人間はなぜ努力をするのでしょうか?それは目指している目標を達成したいためでしょう。しかし、人は努力を続けて成功する人間と努力を諦めて挫折をする2パターンの人間に残念ながら分かれてしまいます。野村克也さんは主張します。努力をしても、すぐに結果は出てこないと。
努力に即効性はなしと心得よ。
でも、努力は裏切らない。
出典:野村克也100の言葉(著者:野村克也)96ページ
人が努力をして、すぐに結果を求めるのは、努力した見返りを欲しがるからでしょう。しかし、野村克也さんは結果はすぐに出ないが、いつか必ず報われると主張しています。結局はどこまで自分の事を信じて努力を続けられるかという事でしょう。
「野村克也100の言葉」の見所
この本は、野球論の本ですが、多くの方にとって参考になる本でしょう。監督が上司、選手が部下と考えれば、ビジネスでも参考になるからです。そして選手時代に野村克也さんが取り組んできた事は、私達が成功するための参考になるでしょう。西武ライオンズファンの私が、最後に言える事はただ一つ。辻監督でも西武ライオンズがダメなままなら、次は野村監督でお願いしたいです。