人気アニメ「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」を名乗り、全国の児童養護施設にランドセルなどをプレゼントする「タイガーマスク運動」の先駆者となった男性が、7日のリアルジャパンプロレス東京・後楽園ホール大会で素顔を公表した。
リング上で初代タイガーマスク(59)から「伊達直人が姿を現します」と紹介されたのは、群馬・前橋市在住の会社員、河村正剛(まさたけ)さん(43)。「子供たちは虐待されるために生まれてきたんじゃない。抱きしめられるために生まれてきたんだ。涙を流すためじゃなく、周りの人を笑顔にするために生まれてきたんだ。この思いを胸に活動を続けていきたいと思います」とあいさつすると、1522人(超満員=主催者発表)の観衆からは大「伊達直人コール」が送られた。
大分県生まれの河村さんは家族環境に恵まれず、小学生のころにランドセルを持っていなかったという。「自分の過去は取り戻せない。でも子供たちの未来なら変えられる」という思いから、1997年に都内の児童養護施設を訪問したことを契機に活動をスタートさせた。
年々、施設の子供の人数が増えていく現状を目の当たりにして「このままじゃダメだ。世の中にメッセージを送りたい」と決意。2010年のクリスマスに「伊達直人」名義で前橋市の中央児童相談所にランドセル10個をプレゼントした。これが大きな話題となり、同様の行為が「タイガーマスク現象」として全国に広がった。翌年、河村さんは初代タイガーが立ち上げた「初代タイガーマスク基金」に参加した。
今回は「子供たちが施設を出た後は支援が途絶えてしまう。こうやって(表に)出ることによって賛否両論はあると思うが、社会的養護を認識してもらい、個人、企業、行政につながってほしい」という思いで、素顔と実名の公表を決めたという。
この日はプロレス大会では異例となるマスコミ30社、70人以上が取材に訪れ、午後9時からのNHK「ニュースウオッチ9」でもトップニュースで速報された。初代タイガーマスクは「(11年に初めて)お会いして、熱意が本物だった。善意が広がるのはいいことだと思う」と話し、今後も支援活動に尽力する決意を見せていた。
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