鳥インフルエンザ 各地の動物園に影響広がる

鳥インフルエンザが相次いで検出されていることを受け、各地の動物園などの施設で鳥の展示を休止したり鳥と触れ合う催しを中止したりするなど、影響が広がっています。これらの施設では感染は起きていませんが、念のために予防などをしているもので、安全が確認されれば再開したいとしています。
宮崎市フェニックス自然動物園は、インコを腕に乗せることができるコーナーなど来園者と接触する一部のイベントを休止にしました。人気者のインコは、今月4日の「えとの引き継ぎ式」にも来年のえとの「とり」の代表として登場する予定でしたが、取りやめになりました。イベント会場にはインコの代わりにモルモットが登場し、子どもたちと触れ合っていました。

京都市動物園では、今月11日に予定していた来園者がペンギンに餌を与えるイベントを中止して、ロバと触れ合う内容に変更しました。フンボルトペンギンを飼育している屋外のプールでは、餌の魚を目的にサギなどの野鳥が侵入するのを防ごうと、職員がプールの周りにポールを設置しワイヤーを張りめぐらせました。

三重県鳥羽市の鳥羽水族館では、ペンギンが展示スペースから出て館内を散歩するショーが人気ですが、当面の間、ショーを取りやめることを決めました。

名古屋市港区にある名古屋港水族館も、ペンギンを屋外で散歩させる「ペンギンよちよちウォーク」という催しを今月23日から始める予定でしたが、安全が確認されるまで延期することを決めました。

このほか、浜松市動物園では、来園者が大型のおりに入って鳥を間近で見ることができるフライングケージと、猛きん舎の展示を中止に。横浜市のよこはま動物園ズーラシアでも、キジやカモなどを間近で見ることができる施設を一時閉鎖。徳島市のとくしま動物園も、ほとんどの鳥の屋外での展示や関連のイベントを中止にしています。また、茨城県日立市のかみね動物園や、愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園では野鳥が飛来しないよう公園内の池の水を抜く対策をしています。

このほか、各地の施設で入り口に消毒液をしみ込ませたマットを用意して来園者に靴底を消毒してもらうなど、感染を防止する対策を行っています。

「日本で人に感染の報告ない」

インフルエンザウイルスに詳しい中部大学生命健康科学部の鈴木康夫客員教授は、鳥から人への感染について「東南アジアなど海外では感染した鳥に直接触れたり、十分加熱しないままその肉を食べたりした人や、排せつ物を深く吸い込んで感染したケースの報告はあるが、日本ではこれまで鳥から人に感染した報告はない。通常の生活をしていれば国内で人に感染することはほとんどないと考えていい」と過剰な心配はしなくていいと話しています。

そのうえで、鳥はさまざまなウイルスを持っていることもあり、最低限の注意は必要だとして「野鳥の死骸を見つけたら触らないようにして、もし触れた場合は手洗いやうがいを丁寧にしてほしい」と話していました。