2016年12月9日00時16分
安倍晋三首相が米ハワイ・真珠湾を訪問することについて、朝日新聞は6日付朝刊で「日本の現職首相が真珠湾を訪れるのは初めて」と報じました。これに対し、「他の新聞で、1951年に吉田茂首相が真珠湾に立ち寄ったという記事を読んだことがある」などのご指摘が本社お客様オフィスに寄せられました。
◇
安倍首相がオバマ米大統領とともに真珠湾を訪問すると発表したのは5日夜。朝日新聞は首相官邸や外務省の幹部たちへの取材を踏まえ、現職首相による真珠湾訪問は初めてだと報じました。日米の複数メディアも同様に報じました。
一方、6日付の読売新聞は「51年9月に吉田茂首相(当時)が立ち寄ったとの記録が一部に残る」と指摘しました。吉田氏はサンフランシスコ講和会議の出席前後にハワイを訪問しており、同年9月13日付の読売新聞は「吉田さん、真珠湾訪問」との見出しで、帰路にハワイへ寄った際、太平洋艦隊司令官と会うため12日に真珠湾を訪れたとしています。
事実確認のため、当時の朝日新聞記事などを調べました。吉田氏がホノルルに立ち寄ったという記事はありましたが、真珠湾に行ったかは確認できませんでした。吉田氏の著作「回想十年」の講和会議前後の記述も調べましたが、ハワイ訪問への言及はありませんでした。
読売新聞の報道を受け、外務省は改めて事実関係を確認。7日、「51年に吉田首相がホノルルを訪問している」としたうえで、「真珠湾での公式行事については確認されていません」と説明しました。
菅義偉官房長官は8日の記者会見で「真珠湾は範囲が広大なこともあって、吉田首相が訪問したかどうか、何らかの行事を行ったかどうかについては確認できない」と述べました。そのうえで、51年当時、真珠湾攻撃の追悼施設「アリゾナ記念館」は建設されていなかったことから、「アリゾナ記念館において現職の首相が慰霊を行うことは今回が初めて。また、米大統領とともに真珠湾を訪問することも初めて」と説明しました。
新しい事実関係がわかれば、改めて報じます。
新着ニュース
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞官邸クラブ