『かぐや様は告らせたい』第35話 花火の音は聞こえない(後編)
素晴らしい…(感動)。
はじめての前後編シリーズであり、夏休み前からでっかい花火を打ち上げる前フリをずっとしていた『かぐや様は告らせたい』の8月20日の夏祭り。
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僕は直ぐにピンと来ましたね。
赤坂アカ先生は「焦らし作戦」をしているに違いないと。ここまで徹底してかぐや様と白銀のニヤリング展開が見れないとなると余計に見たいと思うのが人間ってもんです。ゆえに、ラブコメ愛好家たちは頬を緩めたい欲求に溜まり続けます。このままではダム崩壊です。そんな状態がピークに達した時期で、ここぞで、超ニヤニヤ展開を炸裂させる。
そこまでは読めてました。
全ては夏祭りのための布石だと。溜めているなと。しかし、読者のハードルも上がっていたけど、予想も期待も遥かに上回る大傑作回となったのであった。
「花火の音は聞こえない(後編)」か神回!
かぐや様脱出する
かぐや様脱出する!
うおい!まじかよ!前回の内容と引きから、落ち込んで家から出れないかぐや様を白銀が颯爽と現れて花火大会へ連れていく、「囚われのお姫様と勇者様」的な展開になるかと思ったら。かぐや様は自分で脱出しちゃったよ。自分もまだまだかぐや様という天使を分かっていなかったぜ…。
さすがはかぐや様である。
恋愛方面以外は完璧な超人かぐや様を過小評価しすぎていた。あのかぐや様がただの囚われたお姫様でいるはずもない。とても逞しい外出の仕方に賛辞しかない。ブラボー!
タクシーで花火大会へ向かうかぐや様ですが渋滞に巻き込まれてしまいます。
車よりも自分の足を使ったほうが早いと気づいたかぐや様はタクシーを降りて走って花火大会へ向かいます。その時です。夏休み編を象徴するかのような「すれ違い」が起こったのは!
すれ違い
志村ー…じゃないかぐや様!後ろ後ろ!
かぐや様のtwitter「みんなと花火が見たい」(フォロワー数ゼロなのにチェックしてた)を見た白銀が四宮家(東京宅)へ向かう。一方でかぐや様は自力で花火大会へ向かう。見事にすれ違ってしまったのである。
確かに「すれ違い」というのはラブコメの常套手段です。
ラブコメ作品では、読者をハラハラドキドキさせるのに最もよう使われるのが「すれ違い」です。でもねぇ…夏休み編で散々すれ違って来たじゃないですか。もうかぐや様は白銀とイチャイチャしていいのではないかと。この漫画はかぐや様と白銀の距離の取り方が絶妙でコミカルで面白いんだけど、何もこんな局面で…。
また、かぐや様のモノローグがね。良いんだ。
走って花火大会に向かう中で、石上会計を「初めて面倒を見た後輩」で藤原書記を「私と初めて友達になってくれた人」と反芻して白銀は「初めて出来た…気になる人」と。その輪の中にいるからこそ一緒に花火を見るのは素敵だろうと。
だからせめて私も皆と一緒に―
本日の花火大会は終了いたしました
無情すぎる。
走って花火大会の会場に辿り着いたのに、花火大会は終わっていた…。
夏休みのかぐや様を強調するようなシーンですわ。何もかも上手くいかないかぐや様がここに極まりである。せっかく一歩を踏み出して頑張ったのにこの結果はあんまりではないか。さすがのかぐや様も心がポッキリ折れてしまいます。
ただ生徒会の仲間と花火を見たかっただけなのに。
叶わなかった…。さらにかぐや様のモノローグが涙を誘います。「皆は花火楽しめたかな。だといいな」と。なんてええ娘なんや…。しかし、ついつい本音がポロリと出てしまうのであった。
私も見たかった…花火…皆と
かぐや様…(´;ω;`)ブワッ
なかなか自分の弱さを見せないかぐや様ですがtwitterでの本音の呟き同様に本心を吐露するのであった。あくまでも誰にも見られたく無いのでボロアパートの階段の裏側で誰も居ないことを見越して己の弱さを…本音をさらけ出すかぐや様が涙を誘います。
かぐや様が可哀想過ぎる。
あんまりだよ!こんなのってないよ!ですよ。悲しみしかない。『ニセコイ』の小野寺さんぐらい理不尽で悲惨で絶望しかないじゃないか!何でかぐや様ばっかりこんな仕打ちなんだ…。
たったひとり隠れて本音を出して泣いてしまうのであった。かぐや様の生徒会仲間へのモノローグでは強く強く焦がれているのに理不尽な仕打ち。切なすぎるぜ。可哀想すぎるぜ。泣けるぜ。絶望に堕ちていくかぐや様です。
んで、かぐや様が弱さを見せた、その時である。
だったら俺が見せてやる
絶妙のタイミングである。
やだ、会長ってば、超カッコいいじゃない…。
かぐや様でなくてもこんな風に現れたらキュンときちゃいますよ。こんなんやられたら、絶望でなくて恋に堕ちちゃうっつーの。って、もう恋にはとっくに堕ちてましたけどね(ニヤリ)。より惚れちゃうってことやね。
白銀△□×(さんかっけー死角無し)
ここぞで現れた白銀に「えっなんで…」「どうしてここが…」というかぐや様の質問に「四宮の考えを読んで四宮を探せゲーム」なんていつもの(恋愛頭脳戦)に比べれば100倍簡単だったと言い放つのであった。
と言いつつ汗かきまくりである。
おそらく、かぐや様の家に行って花火大会へ行ったと知ってから必死で探したのでしょう。めちゃんこ頑張って死ぬ気でやっとこさかぐや様を見つけた形跡が見て取れる。それを見せずにかっこつける白銀のかっこ良さは半端無いな!
ようやく見つけたかぐや様に花火を見せるために取った白銀はめちゃんこかっこ良かった。
それが、夏休みにかぐや様とデートすることを妄想して夏休み期間のイベントを全て記憶してたという気持ち悪いことだとしても、崇高で尊敬する行動である。8時までの東京の花火大会が終わっても、千葉の木更津の花火大会はまだやってると。
間に合えー
白銀かっこよすぎる問題である。
かぐや様可愛すぎ問題である。
石上&藤原も良い人問題である。
ついおでにタクシーの運ちゃんもイカス問題だ。
みんなの心を一つにして千葉まで一直線。かぐや様に花火を見せたいって目的に向かって。なんすか。このめちゃんこ熱い展開は!みんなが一つの目標に向かって願いを一つにする話ってのは王道ですけど、ここまで見事に完璧に描くとはね。さすが溜めに溜めてた花火大会だよ。芸術的ともいえる流れである。
そ・し・て!
かぐや様はみんなと花火を見ることが出来たのである。木更津の花火大会に間に合ったのでした。奇跡は起きないから奇跡って言うらしいけどさ。奇跡が起きるからラブコメって言うんですよ!
誰もが花火に目を向ける。
皆が私のために見せてくれた花火。
だけど、ごめんなさい。
その横顔から目が離せない。
心臓の音がうるさくて、もう―――。
花火の音は聞こえない
はぁ~(感嘆)。
まさかサブタイトルの「花火の音は聞こえない」とは、前半で花火大会に行けなくなってしまったことを指して、後半では恋する乙女モードで心臓の心音で花火の音が聞こえなくなってしまうっていう構成だったとはね。やられました。白旗です。完璧な構成です。
かぐや様のお可愛さは過去最大値を更新し、舌を巻く見事の構成とサブタイの真意。読者の期待と想像の遥か上を魅せて、かぐや様の恋する乙女としての溢れる感情の波が打ち上げられてる花火のように「ドン」「ドン」「ドン」と心を強く打ち付けてくる。芸術の領域です。ラストの爽やかな締め方が綺麗でしたね。
天才の仕事じゃねーか!と読んだ直後には思ったものです。
赤坂アカ先生の構成力とストーリーラインと描ききった仕事っぷりに舌を巻くしかない。
でも冷静になって考えると、それは少し違うかなって。この泥臭いような感動は天才が俯瞰して好きなことを描いているのでは無い(と思う)。前作で無念の打ち切りを食らったからこそ、必死に足掻いて努力してレベルを下げたというのはアレだけど、一般層にも受けるように考え抜いて描いてるからこその浪花節的な大感動がある(気がする)。
ゆえにここまで共感して感動するのだ。
もちろん赤坂アカ先生は天才肌の部類だけど、天賦の才だけでは売れないわけで。シナリオ構成の天才が考え抜いた受けるように描いた作品が『かぐや様は告らせたい』である。まあ、細かいこと抜きに神展開だったとしか言いようが無いですね。素晴らしすぎる。
いま一番面白いラブコメは何かって?
愚問だね。『かぐや様は告らせたい』に決まってんだろ!
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~(4): ヤングジャンプコミックス
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コメント
これが神展開、これこそが走る主人公の辿り着くべき場所ですよね……言わなくて良いことは言わずにおきます。
すごいイベントになったものです。
まさに神展開!
陰のMVP早坂さんにも幸あらんことを
まさに神回でしたなぁ〜。白銀会長はカッケーし、かぐや様はお可愛いしwww
かぐや様は、ただ助けを待つだけの女の子ではない。某パツキンと違ってな!
そして、好きな人のために、奇跡を起こそうと奔走する白銀会長!
これだよ、これなんだよ…。僕たちの求めてた漢の姿が…。なぜあのクズは某天使のためにこれが出来なかったんだ………?
最後にサブタイトル見て
はええーって感じで震えました
会長かっこよかったし、惚れ直したであろうかぐや様の今後のデレ展開にも期待大です