キリンがいなくなる? IUCNが絶滅危惧種リストに

  • 2016年12月8日
キリン減少の背景には、生息地域の縮小や密猟、アフリカ諸国で相次ぐ内乱があるとされる Image copyright IUCN
Image caption キリン減少の背景には、生息地域の縮小や密猟、アフリカ諸国で相次ぐ内乱があるとされる

国際自然保護連合(IUCN)は8日、キリンが絶滅する恐れがあるとして、絶滅危惧種を掲載した「レッドリスト」に加えた。

陸上動物で最も背の高いキリンの生息数は1985年の15万5000頭から2015年には9万7000頭まで減少したという。

生息地域の縮小や密猟、アフリカ諸国で相次ぐ内乱が数の減少の背景にある。

アフリカ南部を中心に生息数が増加している地域も存在する。

IUCNはこれまで、キリンについて「軽度懸念」としていた。

しかし、今回「レッドリスト」の「絶滅危惧2類」に引き上げられたのは、過去3世代のうちに生息数が3割以上減少したためだ。

IUCNのキリン専門家グループで共同座長を務めるジュリアン・フェネシー博士は、キリンが「音もなく絶滅」しようとしていると指摘した。

フェネシー博士はBBCの取材に対し、「サファリに出かければ、キリンはあちこちにいる」とした上で、「ゾウやサイが盛んに懸念されてきたが、キリンは注目されなかった。しかし残念ながら、数は急減しており、我々は衝撃を受けている。あまりに短期間にあまりに数が減った」と語った。

「戦乱に見舞われたケニア北部、ソマリア、南スーダンの国境近くのエチオピアでは、キリンは実質的な兵糧だ。体が大きく、とても好奇心が強く、多くの人を食べさせられることができる」

最近の研究では、キリンは4つの異なる種で構成されている可能性があると分かっているが、IUCNは今回のレッドリスト更新で、従来の1種9亜種の定義を使った。

このうち5亜種で生息数が減少しており、1亜種は横ばい、3亜種は増加した。生息地が亜種ごとの違いに大きな影響を及ぼしているとみられる。

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Image caption 好奇心の強いキリンは猟の標的にされやすい

フェネシー博士は、「アフリカ南部の亜種では、過去30年で2から3倍に増えた」とした上で、「しかし、アフリカ東部に目を向ければ、数は急減しており、過去30年だけでみても、ヌビアンキリンは最大95%減った」と語った。

解決法はある

一部の地域では絶滅の可能性もあると研究者たちは懸念しているが、長期的には絶滅回避は可能だと楽観視する見方もある。

アフリカ南部でキリンの生息数を高水準に維持することに成功したのには、観光客向けの自然動物保護区の管理が大きく関わっていると専門家は指摘する。IUCNがレッドリストに載せたことによって集まる関心も助けになるという。

ロンドン動物学協会のクリス・ランソム氏は、「野生動物の管理で南アフリカはよい模範になる。保護区間を行き来する動物がたくさんいて、アフリカのほかの大方の地域とはかなり異なるシナリオだ」と話す。

「正しい保護の取り組みでキリンは生き残れると思うし、野生で生息できるようにすることができる。保護の成功例がたくさんある。キリンもその一つにすることが可能だ」

最新のレッドリストでは、8万5000種が掲載され、そのうち2万4000種が絶滅危惧種に入っている。鳥類では700種以上が新たに絶滅危惧種に加えられ、うち11%が絶滅の危機にあるとされた。

(英語記事 Giraffes facing 'silent extinction' as population plunges

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