「体重500キロ」のエジプト女性、インドで手術へ

  • 2016年12月8日
エマン・アフメド・アブド・エル・アティさん Image copyright Courtesy: Dr Muffazal Lakdawala
Image caption エマン・アフメド・アブド・エル・アティさん。家族によると25年間、家を出られていない。

体重500キロで世界で最も重い女性と言われているエジプト人女性が、体重を減らすためにインドで手術を受けることになった。

エマン・アフメド・アブド・エル・アティさん(36)は、チャーター機でムンバイに向かい、肥満外科のムファザル・ラクダワラ医師による手術を受ける予定。

カイロのインド大使館は当初、エマンさん本人が査証申請窓口に行けないことを理由に、申請を却下していた。しかし、ラクダワラ医師がインド外相あてにツイートしたのを機に、事態が変わった。

インドのスシマ・スワラジ外相は、自分自身も肝臓移植を待って入院中で、「教えて下さってありがとうございます。もちろん彼女を助けますよ」と返信

ラクダワラ医師は6日、「カイロの大使館から査証が承認されたと連絡があった」とツイートした

家族によるとエマンさんは25年前から家を出られず、体重は500キロだと話している。

もし本当に500キロならば、世界で最も体重の重い存命の女性ということになる。現在のギネス世界記録保持者は、2010年に体重292キロだった米国のポーリーン・ポッターさん

ラクダワラ医師はこれまで、インドのニティン・ガドカリ道路交通・高速道路相や、ベンカイア・ナイドゥ住宅・都市貧困問題軽減相に対して、減量手術を行ってきた。医師はBBCに対して、エマンさんの診察記録や写真から判断して、少なくとも450キロはあるだろうと話した。

医師は家族から聞いた話として、エマンさんは生まれた時の体重が5キロで、象皮症だと診断されたとBBCに明らかにした。象皮症は、寄生虫感染が原因で四肢など体の一部が肥大する病気。

「11歳の時に体重が激増して、立ち上がれなくなったと家族は話している。這いまわるしかできなくなった後に脳梗塞を発症し、それ以来は寝たきりで家を出られなくなったという」と医師は話した。

母親と姉妹が、エマンさんの面倒を見ているという。

Image copyright Courtesy: Dr Muffazal Lakdawala

医師によると、10月にエマンさんの姉妹から連絡があった。家族がチャーター便の費用を負担するのは不可能だったため、医師が募金を集め始めた。

「手続きが済み次第、来週にもムンバイに来てもらう予定だ」と医師は言う。

ラクダワラ医師は、エマンさんの疾患は象皮症ではなく、肥満によるリンパ浮腫ではないかと考えている。リンパ浮腫は、両脚が巨大に肥大する原因となる。

「手術と治療のためムンバイで2~3カ月過ごした後は、帰宅できるようになる。しかし体重を100キロ以下に落とすには、さらに2~3年かかる」とラクダワラ医師は説明し、「助けてあげられると期待している。自信があると言うのは大げさすぎるので、それは言えないが」と述べた。

肥満手術とは

Image caption 胃バンド(gastric band)の使用法

肥満手術は減量手術とも呼ばれ、皮下脂肪が過剰で、生命に危険を及ぼすほど肥満している人の、最後の治療法として使われる。

英国では、他の治療法では効果がなく、命に危険があり得る患者に対してのみ、国民健康保険の対象となる。

年間約8000人が、英国で肥満手術を受ける。

最も一般的な手術法は――

・胃バンド――胃の上部にバンドを巻いて胃を小さくし、少量の食事で満腹感を得られるようにする。

・胃バイパス――胃のほとんどを食べ物が通過しないように消化器のルートを変更し、消化される食べ物の量が減っても満腹感を得られるようにする。

<参考>

世界的に見て自分の肥満度は?(英語――年齢、性別、身長、体重、国籍を記入すると、自分のBMIがどの国の平均に一番近いかを算出)

(英語記事 India doctor to operate on '500kg' Egyptian woman

この話題についてさらに読む