欧中銀 量的緩和を9か月延長 買い入れ規模は縮小

欧中銀 量的緩和を9か月延長 買い入れ規模は縮小
ヨーロッパ中央銀行は、単一通貨ユーロの金融政策を決める理事会を開き、各国の国債などを買い入れて市場に大量の資金を供給する量的緩和の実施期間を9か月延長し、来年4月以降は、1か月当たりの買い入れの規模を800億ユーロから、600億ユーロに縮小することを決めました。
ヨーロッパ中央銀行は、8日、単一通貨ユーロの金融政策を決める理事会を、ドイツのフランクフルトにある本部で開きました。
その結果、主要な政策金利は年0%、金融機関から資金を預かる際の金利は年マイナス0.4%で、それぞれ据え置きました。
一方で、各国の国債などを買い入れて市場に大量の資金を供給する量的緩和の実施期間を来年12月まで9か月延長し、来年4月以降は、1か月当たりの買い入れの規模を800億ユーロから、600億ユーロに縮小することを決めました。

ユーロ圏では、先月の消費者物価指数がおよそ2年半ぶりの上昇幅となり、デフレへの懸念は、和らいでいるものの、イタリアでは、国民投票の結果を受けて、レンツィ首相が辞表を提出し政局が混乱する中、多額の不良債権を抱える銀行の経営不安が再燃していて、各国の経済への影響が懸念されています。

ただ、2年近くにわたる量的緩和で、買い入れの対象となる国債などが不足し始めていることから、ヨーロッパ中央銀行としては、規模を縮小しながらも量的緩和の期間を延長することで、金融緩和を続ける姿勢を示し、景気を下支えする狙いがあると見られます。

ドラギ総裁 量的緩和で景気下支え

ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は、理事会のあとの記者会見で、「ユーロ圏の成長は、依然として下振れリスクが強い」と述べたうえで、物価の上昇が確実に持続するようになるまでは量的緩和を続け、ユーロ圏の景気を下支えする考えを示しました。
また、来年4月以降、量的緩和の規模を縮小することについて、ドラギ総裁は、「物価の見通しが弱まったり、金融市場の動向が不安定になったりした場合には、量的緩和の規模や期間を変更するつもりだ」と述べ、景気や金融市場の動向しだいで、速やかに量的緩和の規模をもとに戻す方針を示しました。
さらにドラギ総裁は、量的緩和で買い入れる国債などが不足し始めていることを踏まえ、これまで買い入れ対象から外していた利回りがマイナス0.4%を下回る国債などの資産についても対象とすることを明らかにし、大規模な金融緩和を継続する方針を強調しました。