日本でも提供がはじまった Amazon Dash Button 。
自分の周りでも、水や子供用のおむつなど用に登録し、手に入れてる人がちらほら出てきた。
面白そうなのは IoT 時代に向けた(?)、白ROM、白SIMならぬ、白Dash Buttonともいうべき、デベロッパーバージョンの"AWS IoT Button"まで出てきていること。使い方の妄想は膨らむばかり。
この Dash Button は構造的にも仕組み的にもシンプルなので、他にも国内の流通なんかでも類似のサービスが出てきそうだ、たとえばイオンとかセブン&アイ・ホールディングズあたりが・・・と思ってしまうが、恐らく出してくるのは難しいだろう。
技術的には簡単にどこでも作れてしまうかもしれない。しかし、Amazonはあの強力な特許を持っていることを忘れてはいかない。業界古い人も忘れてるかもしれないが、あの「ワンクリック特許」である。
「ワンクリック特許」が成立したのは1999年。ネット業界を構成している人々の中では、これ以降に業界に入ってきた人も多いだろうから、そもそもその存在すら知らない人も多いかもしれないが。詳細は上記のリンク先を見てもらうとして、簡単に説明すると、個人情報さえ提供してあればその後はワンクリックで商品が変えてしまうという、そういうシンプルな特許だ。これが特許だと意識せず、普段からAmazonで「 1-Click」ボタンを押して商品を買ってる人は多いだろう。
この特許は、米国のみならず、日本国内でも2012年に成立し、2018年まで有効となっている。
2000年ごろにAppleがこの特許のライセンスをAmazonから受けているが、これはiTMSやApp Store、そしてApplePayなどのサービスで「ワンクリック」でアプリや商品購入できたり、各種支払いができたりすることにつながっている。
今回の Dash Button はそうした「ワンクリック特許」を用いた「1-Click」の物理バージョンであり、特許無くしては存在していないだろう。
もし上述したような日本企業が国内で同様の展開をしたいのであれば、Amazonから特許ライセンスを得なければならないのだが、一方でイオンやセブン&アイ・ホールディングスはAmazonとは今後もド競合となり、戦いが激しくなるのは目に見えているので、実際のところは実施が難しいだろう。
「ワンクリック特許」はいわば、ネットビジネスにおける「基本特許」なのであり、これのカバーする範囲は多く、また応用できる範囲は広い。しかしながらすでに日本の流通・小売業にとっては目に見えない壁となっており”脅威”なのだ。
この「ワンクリック特許」に関して、詳しい本が米国で出ている。興味ある人は手に入れてみるといいと思う。
One Click: Jeff Bezos and the Rise of Amazon.com
- 作者: Richard L. Brandt
- 出版社/メーカー: Penguin
- 発売日: 2011/10/27
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- 作者: リチャード・ブラント,滑川海彦(解説),井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
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