国防部はきのう、流出した軍事機密の規模については口を閉ざした。「現在サイバー戦を進めているところで、軍の対応能力が漏れかねない」という理由からだった。一理ないわけではない。しかし、少なからぬ数の専門家が、ますます高度化されていく北朝鮮の不正アクセス能力に果たして韓国軍が追い付いているのかどうか、疑問を持っている。今回の件で、何が北朝鮮に盗まれたのか正確に分からないとしたら、それこそ大事件だ。敵が何を知っているのか分からなければ、対処しようがない。
軍人のセキュリティー意識は、向上の気配がまるで見えない。規定の上では、秘密の作業はネットワークから切り離し、作業が終わった後は、保安用の移動式保存装置(USBメモリー)に保管しなければならない。今回も、この規定を破った軍人が少なからずおり、それらの軍人がコンピューターに残していた機密が流出した。これまでも、外部のメモリーを業務用パソコンに挿して使い、それが原因で不正アクセスに遭ったケースが続発している。韓国軍は「戦場ネットワークは安全」というが、これでは信用できない。
サイバー情報戦に敗れたら、実戦でも敗れる。核・ミサイルの脅威を防ぐことができず、戦々恐々としている国が、抱えている秘密まで次々と漏らしている。それも、規定を怠りなく守ってさえいれば防ぐことができた。米国・日本は、このあきれた事態をどう見るか。自分たちが渡した情報が北朝鮮に流出した可能性を疑うだろう。このごろ「これが国か」という言葉が流行したが、本当にそう言うべき事態が、ほかでもない軍で発生した。