「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)の審議が始まった参院本会議=国会内で2016年12月7日午前10時18分、川田雅浩撮影
カジノ解禁に向けた議員立法「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)は7日午前、参院本会議で審議が始まった。提出者の自民党が観光・地域振興に寄与するなどと強調したのに対し、民進、共産両党はギャンブル依存症への懸念などから反対論を展開した。
民進党の小西洋之氏は「日銀による異次元の金融緩和というギャンブルの失敗をごまかす『カジノミクス法案』だ」と批判した。共産党の田村智子氏も「人の不幸で利益を上げる。『成長戦略』とは情けなく恥ずかしい」として、ギャンブル依存症対策の不備などを追及した。
提出者の細田博之衆院議員(自民党総務会長)は「2020年東京五輪・パラリンピック前後の切れ目のない観光政策として、成長戦略の一つだ」などと意義を強調した。解禁する賭博の種別については「ルーレットやトランプを用いたゲームが想定されるが、(今回の法案成立後に政府が定める)実施法案で検討される」と述べるにとどめた。同じく提出者の西村康稔衆院議員(自民)は、依存症対策について「諸外国の事例や最新の知見を踏まえ、社会へのマイナスの影響に万全の対策を講じる」と述べた。
法案は、政府にカジノの整備を促し、施行後1年をめどに具体的な制度設計を定めた実施法案の策定を求める内容。6日に衆院を通過しており、自民党は早ければ9日の本会議で可決、成立させたい考えだ。【加藤明子】