メシアン大作オペラ 日本初演…来年度の読響
創立55周年を記念 カンブルラン指揮で
読売日本交響楽団の2017~18シーズン(17年度)のプログラムが決まった。17年4月に迎える創立55周年を記念し、注目公演が目白押しだ。常任指揮者シルヴァン・カンブルランが11月、オリヴィエ・メシアンの大作歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」を演奏会形式で日本初演(全曲)し、4月に首席客演指揮者に就くコルネリウス・マイスターも腕を振るう。バイオリンのギドン・クレーメルら例年以上に豪華なソリストも登場し、名曲から現代曲まで多彩な演目に挑む。(文化部 岩城択)
「アッシジの聖フランチェスコ」 演奏会形式で全曲演奏
17年11月の歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」の全曲演奏は、日本の演奏史に大きな足跡を残すことになる。没後25年を迎えるメシアンの
「私たちにも大きな挑戦だ。伝統的なオペラとはかけ離れた複雑な大作だが、聴衆はオーケストラの響きにどんどん引き込まれ、美しい音楽に浸される貴重な体験になるはずだ」
カンブルランはそう語ると、机上に高く積み上げた計8冊にわたる「アッシジ」の総譜を指さし、「こんなにも高い」と笑った。東京では、定期演奏会と名曲シリーズの2回公演。雄弁な姿に本番を待ち焦がれる喜びがにじみ出た。
「アッシジ」は、メシアンが唯一作曲したオペラで、約260人の管弦楽・合唱の大編成を要し、演奏には約4時間半かかる。日本では、小沢征爾が新日本フィルを指揮して全3幕8景のうち3景だけをオラトリオ形式で演奏した例があるのみだ。
小鳥に説教したという伝説を持つ中世イタリアの聖フランチェスコの数々の奇跡をたどる物語。メシアンの
カンブルランは、この神秘的なオペラを1992年以来、計24回演奏した経験があり、深く精通している。オペラに最初に登場するせりふは「恐ろしい」。それが最後には、合唱によって歌われる「喜び」に変わる。「登場人物の変化を和声の進行でも描いている。演奏する度、毎回必ず『魔法』が起きる特別な作品だ」と説明する。
楽曲の魅力は多彩だ。鳥の声に魅せられたメシアンらしく自然描写は愉悦に富む。「この曲では鳥の声が大変重要な意味を持ち、60種類以上登場する。それぞれ楽器で音色を作る工夫がされている」と語る。
豊潤な響きを紡ぎ出す楽器編成は巨大で、舞台に乗り切れない。フルートやクラリネットは各7本、電子楽器オンド・マルトノが3台登場。40種類以上の打楽器も加わる。「メシアンには『美』というものへのこだわりがとても強く、鮮やかな美をオーケストラが奏でる、色彩豊かな表現が特徴だ」。演奏会形式での上演についても、「オーケストラが、ドラマを音楽で説明していくので、それ以上の演出は要らない。音楽の力だけで伝わるものはとても大きい」と力を込める。
「管弦楽的な表現の魅力では、極みといえる作品。楽曲からは優しさ、繊細さ、はかなさ、慈しみの心が感じられ、過去を振り返るような瞬間が印象的に訪れる」
| 年間会員券 12月3日発売 |
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2017年度の年間会員券(5シリーズ)を12月3日(土)に発売する。また、25歳以下の「学生会員券」を16年度に続けて設けている。
会員券の申し込み方法は以下の通り。 ▼電話で 読響チケットセンター 0570・00・4390(午前10時~午後6時・年中無休/年末年始を除く)オペレーターが要望を聞きながら席を案内する。 ▼インターネットから 読響チケットWEB http://yomikyo.pia.jp からも申し込み可能。 ※パルテノン名曲シリーズの4回セット券は12月23日(金・祝)発売。読響アンサンブル・シリーズの年間会員券(4公演)は17年2月12日(日)発売。 ★会員券は、1回券より割安で、特製CDプレゼントなど多数の特典あり。 |