不登校の子供の学校外での学びを支援することを明記した「教育機会確保法」が7日の参院本会議で可決、成立した。フリースクールなど学校外で学ぶ場の重要性を指摘。休養が必要であることを認めるとともに、子供の状況の継続的な把握や学校外施設などの情報提供を国や自治体に促した。
超党派の議員連盟は当初、同法で保護者が子供の「個別学習計画」を作り、自治体が認めればフリースクールなど学校外での学習を義務教育として認める制度を検討した。ただ「学校教育の根本を揺るがす」「不登校を助長する」と反対が相次ぎ、内容を大幅に見直して法案を自民、民進、公明、おおさか維新が通常国会に共同提出していた。
同法は基本理念として、全ての子供が安心して教育を受けられる学校環境の確保や、不登校の子供の様々な学習の実情を踏まえた支援の必要性を明記。国や自治体は特別な教育課程を持つ「不登校特例校」や、公立の「教育支援センター」の整備に向け必要な措置を講ずるよう努めるとした。
無理な通学はかえって状況を悪化させる懸念があるため、「休養の必要性」を認めた。状況を継続的に把握し、子供や保護者にはフリースクールなど民間施設の情報を提供するよう求めた。戦後の混乱で義務教育を修了できなかった人などが通う夜間中学への就学機会の提供も盛り込まれた。
付則には「政府は速やかに経済的支援のあり方を検討し、措置を講ずる」と盛り込んだ。文部科学省が今後具体策を検討するが、子供にきめ細かく対応するための教職員数の充実や、授業料が原則自己負担のフリースクールへの支援策などを実現できるかどうかが課題になる。
文科省によると、2015年度に「不登校」を理由に30日以上欠席した小中学生は約12万6千人。児童・生徒全体に占める割合は約1.26%と過去最高となった。全体の57.4%は年90日以上学校を欠席。全く登校していない場合も含め、出席日数が年10日以下という児童・生徒も約1万3千人いた。
文科省調査でフリースクールは昨年3月時点で全国に474カ所あり、少なくとも約4200人の小中学生が通う。