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木下晋「祈りの時代」展

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ハンセン病と共に生きた詩人を描いた、木下晋氏による作品展「祈りの時代」が開催される。

木下晋が元ハンセン病患者の詩人桜井哲夫を描いた他に類を見ない祈りの表現をした作品を中心に、新作の合掌図の作品を加えての展覧会「祈りの時代」が石川県金沢市にあるギャラリー、SLANTで開催される。初日の29日には、毎日新聞記者の萩尾信也さんとのトークイベントも開催される。


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現実は、ただそれとして、そこにある。 
人の善意や悪意を超えた場所で。 東日本大震災後、がれきの山を前に 1 人の貧弱な人間にできるのは、手を合わせ祈ることだけ。母を想い、 子を想い、遠い誰かを思って。
それは人間だからこその世界との結び付き方。 
祈りの時代。

木下晋はこれまで、10Hから 10Bの鉛筆を用いてモノクロームの独自な世界を築いてきた。木下に描かれた元ハンセン病患者の詩人桜井哲夫ら、現実に翻弄された人間の姿は、これ以上ないほど写実的でありながら、その向こうの「なにか」を観る者に訴える。たとえ手を合わせていなくても、その光と影で 彩られた圧倒的な表現自体が祈りであるかのように。
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木下晋「祈りの時代」
2012年7月29日(Sun)~8月19日(Sun)
11:00~19:00 
入場無料
会場 SLANT 石川県金沢市広坂1-2-32 2F
月曜休廊(祝日開廊)


関連企画
「ハンセン病と共に生きた詩人」
対談:木下晋×萩尾信也(毎日新聞記者)
2012年7月29日(日) 15:00~
会場 SLANT 入場無料


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Photo: 鬼海弘雄

木下晋(きのしたすすむ)
1947年生まれ。
16歳の時、自由美術協会展に最年少で初入選し注目を浴びる。画家の麻生三郎、美術評論家の瀧口修造、本間正義らの知遇を得て、全国各地とパリ、ニューヨークなどで個展やグループ展を開く。1980年に鉛筆によるモノクロームの新たな表現方法に取り組み、10Hから10Bの22段階の濃淡を駆使して精緻な表現で、実母や最後の瞽女と言われた小林ハル、元ハンセン病患者の詩人の桜井哲夫などをモデルとして作品を発表し、モノクロームの光と影による圧倒的な表現で現代絵画に新たな領域を確立する。画家として活躍するかたわら、東京大学工学部 建築学科(2008年まで)、新潟薬科大学で非常勤講師(2011年まで)を務め、現在は武蔵野美術大学で客員教授、金沢美術工芸大学で大学院博士課程専任教授を努める。パブリックコレクションとして、富山県立近代美術館、宮城県美 術館、湯殿山注連寺、目黒美術館、富山県教育委員会、信濃デッサン館、本間美術館、致道博物館、町立久万美術館、池田20世紀美術館、新潟市美術館、高知県立美術館、ベネッセアートサイト直島、新潟県立万代島美術館、佐喜間美術館などに作品が収蔵されている。2012年4月、木下晋展「祈りの心」が平塚市美術館で開催され、砺波市美術館(2012年7月)、足利市立美術館(2012年9月)を巡回予定。


萩尾信也(はぎおしんや)
1955年生まれ。
早稲田大学卒業後、毎日新聞に入社。前橋支局、東京本社社会部、バンコク支局特派員、外信部デスク、サン デー毎日編集次長、東京社会部編集委員などを経て、2011年から東京社会部部長委員。著書に「じぱんぐ」(毎日新聞、1989年)、「情報デモクラシー」(同、92年)、「あのうたが聴こえますか 戦後50年歌物語」(音楽之友社、95年)、「生きる者の記録」(毎日新聞社、03年)、「ジャーナリズムの方法」(早稲田大学出版、06年)、「三陸物語 被災地で生きる人々の記録」(毎日新聞社、11年)。新聞に連載した「生きる者の記録」で03年度「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」を、「三陸物語」などの新聞連載で12年度「日本記者クラブ賞」を受賞。

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