京都大が留年する学生に向けてウェブサイトに掲載している一文が話題となっている。留年は「破滅」ではないと励まし、授業に通うための方法も助言する。「留年に限らず、生きづらさを感じる人に有効なアドバイス」とネット上でも話題を呼んでいる。

 タイトルは「留年について」。書いたのは京大教授で臨床心理学者の杉原保史・学生総合支援センター長(55)。約30年、学生らの悩み相談を担当。相談者は年約700人で年々増加している。昨年11月にカウンセリングルームのサイト(https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/ryunen.html別ウインドウで開きます)を更新した際、「悩んだら読んでほしい」と掲載した。

 文章はまず、京大では学生の2割が留年するデータを示し、特別なことではないと切り出す。

 《これだけの人がするということは、留年や退学は単に個人の失敗ではない。大学というシステムは一定数の留年や退学を生むようにできています》

 さらに留年を繰り返す学生の行動や考え方をパターン化し、アドバイスをしている。例えば、留年が心の重荷となり、単位のための勉強に忙殺されている学生にはこう伝える。

 《心から笑う、ちょっとした贅沢(ぜいたく)を味わう。小さなことでもいいので、日々を楽しみましょう》

 留年を隠して周囲から孤立したり、「卒業しなければ破滅」と悲観的に考えたりすることも避けるよう促す。授業に行くのがおっくうになった学生には、朝、缶コーヒーを買いに行く習慣をつけることを勧める。家から直接大学に行くよりも心理的に楽だという。

 《コーヒーを飲み終わると、そ…

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