ノーベル医学・生理学賞の大隅さんが記念講演

ノーベル医学・生理学賞の大隅さんが記念講演
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ことしのノーベル医学・生理学賞を受賞する東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが、スウェーデンのストックホルムで「ノーベルレクチャー」と呼ばれる記念講演に臨み、「科学を何かに役立てるためのものではなく、文化としてとらえ、育んでくれる社会になってほしい」と訴えました。
「ノーベルレクチャー」は、ノーベル賞が始まった1901年から行われている伝統行事で、その年の受賞者が、受賞理由となった研究の意義やみずからの思いを一般の人に向けて話します。

大隅さんは、日本時間の7日夜、ストックホルムにあるカロリンスカ研究所の大ホールでクリスマスツリーが飾られた壇上に立ち、1000人余りの聴衆を前に、「細胞のリサイクル機能『オートファジー』」というテーマで講演に臨みました。

この中で大隅さんは、これまでの研究者人生を振り返り、「とにかく毎日顕微鏡をのぞいていた。顕微鏡をのぞき込んでいる時間だけはどの研究者よりも長かったと思う」と話していました。

そして、オートファジーががんやパーキンソン病などさまざまな病気と関係していることが明らかになりつつある現状について説明したうえで、「私の研究は、細胞の中の仕組みを解明したいという純粋な好奇心によって続けられてきたが、今や生物学において主要な分野になっている。科学を何かに役立てるためのものではなく、文化としてとらえ、育んでくれる社会になってほしい」と訴え、「オートファジーに関する私の基礎研究の成果をノーベル財団が認めてくれたことはこの上ない喜びだ」と語って講演を締めくくると、会場の人たちはみな立ち上がり、盛大な拍手を贈っていました。

ノーベル賞の授賞式は日本時間の11日未明、ストックホルム中心部のコンサートホールで行われます。