『君の名は。』瀧くんはなぜこれほどに愛されたのか? “川村チューニング”の妙
ニコニコ生放送の人気番組「山田玲司のヤングサンデー」。今回は10月12日放送の“ニコ論壇時評”「君の名は。が好きな人はバカなのか? 問題と糸守町に墜ちたものの正体とは?」の内容を書き起こしでお届けします。
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山田玲司のヤングサンデー > 「君の名は。が好きな人はバカなのか?問題と糸守町に墜ちたものの正体とは?」ニコ論壇時評 2016年10月12日のログ
- スピーカー
- 漫画家 山田玲司 氏
乙君 氏
しみちゃん 氏
『君の名は。』川村チューニングの効果
山田玲司氏(以下、山田) 長くなっちゃうので早くやりますけど……。あともう1個。川村(元気)チューニング。 乙君氏(以下、乙君) 「3つ」って言わなかった? (一同笑) 山田 いや、だから、川村チューニング第2が、さっき言ってた「いつか必ず運命の人に出会える」っていうことを、完全にパッケージしてしまったと。 乙君 うんうん。 山田 しかも、ここで運命の人が誰にでも平等でいたら、「本当に数が合うんですか?」とか。 しみちゃん氏(以下、しみちゃん) あー。 山田 「必ずイケメンなんですか?」とか、「クラス、教室にいる人全員くっついてください。みんな、運命の人ですから」って言ったときに、「全員が三葉と瀧くんか?」っていう問題に関しては、川村チューニングで絞ります。 乙君 ほうーーー。 山田 こういうことで、ものすごくいろんなことをやっているのが、だから、すごくおもしろくて。 しみちゃん うん。 山田 えーと、この話、どこですればいいんだっけ……。 乙君&しみちゃん (笑)。
山田氏が指摘する「瀧くん問題」とは?
山田 そうそう。もういいや、言っちゃう。瀧くん問題ですよ。 乙君 瀧くん。 山田 瀧くん問題、いきます。 乙君 井沢、来生、滝って言ってね、昔の修哲トリオ……(注:『キャプテン翼』の登場人物)。 山田 川村チューニング! 乙君 ん? しみちゃん やめろ(笑)。 山田 カフェ憧れ、パンケーキ1,600円、みたいな。そういう東京キラキラみたいなのがあるんだけど。 乙君 そうそう。 山田 その運命の人にふさわしいキャラクターに、三葉は簡単になるんだよ。田舎の純粋な女子高生、みんな大好きだから。 乙君 うん。 山田 それは、中身が空っぽで、いろんなことを入れやすいっていうね。本当はそうじゃなくて、実際に田舎の女の子が、みんな、ああだって言ったら、これ、ある種の偏見だよね(笑)。 乙君 そうそう。「バカにしてんじゃないのかな」って思った、田舎の……。 山田 そうそう、そうなの。でも、いいの。あれは、マコト・シンカイの心の中にいる人だから。「それは俺たちが共有してるんだ」みたいなところで、オッケー。 乙君 まあまあ。 山田 それで、都会に憧れる、地方の純粋な少女っていうのはオッケー。 乙君 はいはい。
イタリアンレストランでバイトするリア充
山田 問題は、もう1個、「うまいなー」って思うチューニングがあって。やっぱり瀧くんってキャラクターが、「彼女できない」とか、いろいろネガティブなことをほざいていながら、なんだかんだ、かなりのリア充ですよね。 乙君 そう言えば、そうかもしれないですね。 山田 イタリアンレストランでバイトしてますから。 乙君 それがびっくりしたよね(笑)。 しみちゃん (笑)。 山田 あれこそ、東京変換なんだよ。 乙君 うん。 山田 そこで、建築家になる夢とか(笑)。建築家大好きですから。「建築家になる」って言う男を大好きですから、女の人。 乙君 そうなの?(笑)。 (一同笑) 乙君 それってそうなの?(笑)。 山田 でも、なんか知らないけど、ゼネコンかなんかに就活に行くので、ちょっとズレていくっていう。建設事務所に行けばいいのに、そういうところに行くことになってる、みたいな。そこに男側は乗っかれるんだよ。 乙君 はい。
男も女も共感できる、絶妙なライン
山田 でも、女側は、「リア充、大卒で、就活してて、スーツ着てて、イケメンだったら、もう最低ラインのスペック、オッケーです」みたいな。 乙君 あーー。 山田 だから、内面とかそうじゃない(笑)。要は、奥村さんに相手にされないような男なんだよ? あの……、バイト先の女の。 乙君 奥寺さんだよ。 山田 あ、奥寺さんか(笑)。奥寺さんに相手にされないような、内面の未熟な男なんだけど、最低限、女の人が「運命の人でもアリです」っていうラインは、しっかり引いてる。 乙君 はいはい。なるほどね。 山田 これは、「実にすごいな」と思う。でも、この男はなにをしてたかというと、高校から大学にかけて、なんにもしてないんだよね。主になんにもしてない、っていう。ここに、男たちは共感するんだよ。なにもない。ただ待ってた、っていう。 っていう、そのへんのところの、男も乗れる、女も乗れるってところで、絶妙なところがあるんだよ。 しみちゃん はい。 山田 もうちょっとできる奴だと、男が乗れなくなる。 乙君 あー、なるほど。 山田 そうそう。これ、けっこう難しいチューニングをやってたな、という。 乙君 そう言われると、すごく絶妙な。 山田 絶妙なの。 乙君 コントロールいいですね。岩隈ぐらいいい、うん。 山田 岩隈ぐらい……。 しみちゃん (笑)。 乙君 岩隈ぐらいいいですね、元気さんは。 山田 岩隈……。はいはい、そうですね。 (一同笑)
※続きは近日公開
山田玲司のヤングサンデー
漫画家・山田玲司が多彩な経験と圧倒的な知識を元に「テレビでは語られない角度」で恋愛、社会問題、漫画、映画、音楽、人生とは何か? などさまざまな問題を斬っていきます。