大ヒット中のドラマ、「逃げるは恥だが役に立つ」をみて、星野源さんについて興味を持ったので、星野さんが書かれたエッセイ「働く男」を読んでみました。
このエッセイを読むことで、文筆家、音楽家、俳優の三役をこなされる星野さんの文化的な背景を知れたのも面白かったのですが、この本は文庫で購入したので、書籍版を出した後の顛末について、追記された内容が特に印象に残りました。
星野さんは、書籍版の方の「働く男」を出した直後に、くも膜下出血という重い病気で倒れられています。文庫版の前書きでは、その病気で倒れられる前後での仕事への感覚の変化について、以下のように述べられています。
昔のような依存感、中毒感、過剰な苦しみは一切感じない。楽しい。(中略)休んでいても不安は感じない。焦らない。むしろめっちゃ休みたい。今の自分がいるのは以前の自分のおかげであり、彼が殻を破ってやろうと必死になって戦ったからこそ、脱皮した自分がのほほんと暮らしていけている。そう思うようになった。
しかし、その後もなにかとお忙しそうな星野さんについて、最近こんなニュースを目にしました。
星野さん...やっぱり働き過ぎではないでしょうか?マルチな才能を持って、その一つ一つに妥協が効かない人は、結局限界を超えてでも働こうとしてしまうのでしょうか?
生涯を働きづめで通した人、としては最近では、アップル社の元CEO、スティーブ・ジョブズ氏などが思い出されますが、私より年配の方であれば、日本が誇る漫画家、手塚治虫さんを思い浮かべる方もいるかもしれません。
以前、「知識人99人の死に方」という少し変わったタイトルの本を、ふと手にとって読んだことがあるのですが、その一人目として、手塚さんの話が書かれていて、その話が印象に残っています。
手塚治虫さんは、17歳でデビューして60歳で亡くなるまで、のべ15万枚にのぼる天文学的な量の原稿を書かれたそうです。50歳を超えても平均睡眠時間は5時間程度で朝の8時から全力で働きづめ。そのような働きっぷりのため、病気の発見が遅れ、入院されたときにはほぼ手遅れに近い状態だったとか。
そんな手塚治虫さんがすべての漫画作品を通して伝えたかったテーマは、手塚さん自身の著書の中で、
「生命を大切にしよう!」
であったと記されています。うーん...皮肉を通り越して、いろいろ考えさせられてしまいますよね。
星野さんも手塚さんも、非凡な才能と情熱をもって仕事に取り組まれている方なので、私のような凡人とは比べるべくもないのですが、私はと言えば、30歳の頃から5年ほど、閑散期が全くなく、勤務時間がデフォルトで8時半〜21時で常時残業70時間前後、という生活をしたことがあります。
世の中には、月残業100時間とか、200時間とかそれ以上に働かれている方がいらっしゃるので、「そんなの全然大したことないよ!」と言われてしまうと思いますが、それでもこの働き方をしていたときは、体を壊さずに続けられる範囲としてはこの位がギリギリ限度なんじゃないかなぁ、と思いながらやってました。過労死基準の80時間、というのはおおむね正しい指標なんですね、きっと。
仕事の妥協が効かずに働きすぎてしまう人と、会社の事情で長時間労働を強いられている人、とではまたいろいろ違ってくるのだとも思いますが、とにかくみなさん働き過ぎですよ...ほんと。
星野さんがたくさんの才能をもっておられることは、著書でよく分かりましたが、やっぱり自分のことも大事にしながら今後も長く活躍されてほしいなぁ、と思ってしまいました。
というわけで、今日も子どもをお風呂に入れ終えたら、昨日録画しておいた、「逃げ恥」の続きを見ますよ〜(わが家は10時半就寝なので、ドラマを見るのはいつも翌日。)