宇都宮の爆発事件が世間をにぎわせています。この事件を無理やり在日韓国朝鮮人と結びつける人が一部にいるようですが、それはまた機会があれば記事にしたいと思います。


さて、この事件に関連して、こんな主張をする人がいます。



そういえば、昨年靖国神社で韓国人が起こした爆弾騒ぎがありましたね。韓国に戻っていた犯人がわざわざ再入国して逮捕されるという、犯人の行動が不可解な事件でしたが、たしかにあの事件は新聞報道を見ても「爆発『音』事件」と報道されています。どうしてだったのでしょうか? 本当に、犯人が韓国人だから、差別的風評が広がらないよう印象を和らげよう配慮した「偏向報道」だったのでしょうか? 本当に、マスコミが韓国人に乗っ取られた結果なのでしょうか?

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同様の主張は、ネットを検索するとたくさん見つかりました。

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>>明らかに日本の主権を脅かそうとしている連中が
>>日本のマスコミに浸透している結果

Yahoo! 知恵袋

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↑デマだらけの「なでしこりん」のブログ


テレビで有名な「石平太郎」氏も同様の推測をしています。




結論から言いますと、「爆発物事件」ではなく「爆発音事件」となっているのが、韓国や在日韓国人への「配慮」だとかマスコミが在日に乗っ取られているからだとかいうのは、完全な間違いです。


私もどうして「爆発事件」なのか気になったので、ニュース記事を検索してみました。すると、こんな記事がありました。

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 靖国神社の現場で見つかった不審物をめぐり、警視庁公安部は金属パイプに詰まった火薬の燃焼が起きたとし、火薬類取締法違反容疑を適用した。全昶漢容疑者が設置した装置が「爆発物」という認定は現段階でできず、より罪の重い爆発物取締罰則違反容疑の適用はいったん見送った。

産経新聞 2016年1月22日

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 公安部は再現実験で装置は大きな爆発音がし、パイプが板を突き破るケースも確認したが、爆発物に該当しないと判断した。公安部は昨年12月に再来日した際、火薬を持ち込んだ行為についても捜査する。

産経新聞 2016年2月10日

産経新聞が一番詳しく報道していて、産経のおかげで詳細が分かったのが皮肉というか面白いですが(やっぱり産経が一番この事件に関心を持っていたんだろうなあ)、どうやら犯人は素人だったようで、爆発物を作る意図だったにも関わらず、爆発物が作れず(実際に爆弾は不発だった)、単に「火薬が燃焼した」だけであって、「爆発物には該当しない」と判断されたらしいです。だから容疑も「爆発物取締法違反」ではなく「火薬類取締法違反」になったわけですね。


つまり、これが「爆発物事件」ではなく「爆発音事件」と報道されているのは、日本の「マスゴミ」が「在日に支配されている」とか「どこかの国への配慮」とかではなく、日本の警察が、法律上、仕掛けられたものが「爆発物」に当たらないと判断したからなわけですね。


そりゃあ、法律上「爆発物」に該当しないものを「爆発物事件」とは報道しませんわな。私はこの手のことには全くのど素人ですので、法律上どういうものだったら「爆発物」で、どうだったら「爆発物」じゃないのかよくわかりませんが、少なくとも「爆発事件」という報道が、マスコミが事件矮小化を狙ってやっていたことではないことだけは確実ですね。


石平氏なんか、テレビにもよく出演しているのですから、どうして「爆発物事件」とか「爆発事件」ではなく「爆発音事件」なのか、マスコミ関係者に実際に聞いてみればいいと思うですけどね。


マスコミが在日に支配されているなんて妄想を心配するより、現実に国連や国境なき記者団が警鐘を鳴らしている、安倍政権によるマスコミへの報道圧力の方を気にした方がよほど現実的だと思います。
 

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