ベストアルバム
1.BiSH「KiLLER BiSH」
個人的な思い入れがあまりにも強く1位。10月8日の日比谷野音でのツアーファイナルでのアンコール「オーケストラ」は本当にすごかった。シティ・ポップにトレンドが完全に移行しきった2016年、アイドルの多くもまたそういった音楽性を持ったグループが「楽曲派」ウケという小さなパイを奪い合う中、BiSHは徹頭徹尾エモとパンクを貫いた。このアルバムがその証左。最高なのでみんな聴きましょう。
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2.Bon Iver「22, A Million」
恥ずかしながらBon Iverをまともに聴いたことがなかったのだが、いいアルバムすぎてぶっ飛んだ。神秘的でちょっと暗いんだけど、なんか内に秘めたものを爆発させたような壮大な感じでたまらない。オートチューンなども含めたボーカルの多重録音のハーモニーに心を揺さぶられる。機材などについてはこちらが参考になる。読んでもよくわかんなかったけど。3.宇多田ヒカル「fantome」
もとはといえば、KOHHをフィーチャーした「忘却」を教えてもらい、それがあまりにすごかったのでそれを聴くためだけに買ったアルバムだった。「忘却」は確かに死ぬほどよいのだが、それ以外の楽曲もとても素晴らしい。アイドルソングに慣れすぎているため最初は削ぎ落とされたシンプルな音作りに物足りなさを覚えたが、どうやらこれくらいのほうがいいらしい。客演も豪華で、椎名林檎とのデュエット「二時間だけのバカンス」、水曜日のカンパネラにも楽曲提供する小袋成彬作曲の「ともだち」など。これは同性愛の人間の恋愛を歌っているのではないかとかいう話に関してTwitter上で本人がファンとのリプライのやりとりをしていたことでも話題になったが、それでなくても素晴らしい曲。また、事前に出ていた「花束を君に」などのシングル曲も、違和感なくアルバムに自然におさまっている。全体的に閉塞感のある生活のなかにどのように幸せを見出していくかがテーマなのではないかと思った。暗いんだけど暗くない。
4.C.O.S.A.×KID FRESINO「Somewhere」
フリースタイルダンジョンを機にミーハーにヒップホップに手を出した結果これにたどり着いたのは本当によかった。トラックのセンスも最高なのに加え、ふたりのリリシズムがすごい。説明しすぎず聴き手の想像に任せる多少の余白のある歌詞の絶妙なバランス感覚で、少しありがちなモチーフも新鮮に受け入れられる。ラッパーはラッパーとしての生活から歌詞を書くことになるので、どうしても似通ったテーマになりがち問題みたいなのがある気がするのだけど、こういうのを聴くとそんなの関係ないんだなという感じがする。
5.James Blake「The Colour in Anything」
トラップやらインディーR&Bやらの要素を散りばめつつなんかいい感じにまとまっている。これをきっかけに聴いたBon Iverの新譜とは根底で通じているものがあるのかもしれないが、印象としてはこちらのほうが圧倒的に内省的で暗いアルバム。歌詞が赤裸々でよかった。6.Anderson Paak.「Malibu」
今年ライブに誘われたがスケジュールが合わず断ったものがいくつかあるのだが、そのなかでも一番後悔してるのがこれ。このひと、とかくドラムも上手いらしい。7.BiSH「FAKE METAL JACKET」
BiSHにドハマリしたきっかけとなってしまったアルバム。「たかが運命なんてもんは変えていける気がするんだ」「どんなトゲトゲな日でも息してれば明日は来るんだし」など、メンバーの詞が素晴らしい。8.Homecomings「SALE OF BROKEN DREAM」
前作もとても大好きだったのだが、次のシングルが発表された際、「あれ、いわゆるロキノン的な安易なおセンチになってしまったな」という印象を覚えていたのだが、アルバム全体を通して聴くとむしろ前作から作風は一貫しているように思う。相変わらずギターの音がきれいで、ボーカルはかわいい声。拙い英語が仇でなくむしろ魅力に繋がっているところが、ジャパニーズ・オリジナルである。9.Whitney「Light Upon the Lake」
Unknown Mortal OrchestraとSmith Westernsのメンバーが結成したグループ。昨今のトレンドに乗ろうとするあまり、ここ2年ほどいわゆるインディー・ロック然としたものから距離があった感じなのだが(というかそもそも音楽あまり聴いていなかったという話もあるが)、これで少し揺り戻された。10.American Football「American Football」
あまり情報を追っていなかったので、まさか2016年にアメフトの新譜が聴けるとは思わなかった。相変わらず綺麗な音。また、歌詞もとてもいい。人間の分かり合えなさみたいなものを淡々と描いている。アルバム唯一にして最大の欠点は、このニューアルバムも名盤の1stもどちらも同じセルフタイトルのアルバムで、アルバムの管理が面倒だということ。まあそれで1stも聴き直すきっかけになって、1stももっと好きになったので別にいいんだけど。11.David Bowie「Blackstar」
「ジギー・スターダスト」以外ほとんど聴いてこなかったので、実はほとんど初めてのリアルタイムのデヴィッド・ボウイがこれ。非常に明確に覚えているのだが、1月8日このアルバムが配信されて何度も聴いていたらその3日後に訃報。ベタだが、遺作になることがわかっていたんだと思う。
12.KOHH「DIRT Ⅱ」
非常に暗い。はじめて聴いたときは、そのあと動く気力を削がれた。
13.Teenage Fanclub「Here」
Teenage Fanclubは本当にとても好きなバンドで、Grand PrixとBandwagonesqueは中学時代から何度も聴いてきた、本当に青春時代に傍にあったアルバムなのだが(実際Grand Prixに関してはレコード屋をまわりクリエイション盤も買った。とても懐かしい)、実は当時から新譜はリアルタイムではあまり聴いてこなかった。来年3月に来日するので公演に行きたいと思っておりそれで新譜を聴いてみたのだが、変わらずTeenage Fanclubでよかった。いつ新しいものを聴いてもあんまり変わらないっていうのも、それはそれで最高だ。
14.BAD HOP「BAD HOP 1 DAY」
フリースタイルダンジョン直系で最も音源がいいのはやはりT-PablowのBAD HOPである。平易な言葉を使って自らの生活をありのまま詞にしている。情緒がすごい。ヒップホップ、特にキングギドラ以降の「ギャングスタっぽい」奴らは変にアメリカから影響を受けてしまってイキりがち、という偏見があって、実際にT-PablowとYzerrの2WINにはそういったところも見受けられる気がするのだが、このアルバムに関してはは彼らの日常をそのまま切り取った感じなのだろうなと思った。おそらくこのミックステープのなかでも最も聴かれているであろう「Life Style」は言うまでもなく素晴らしいが、「いつも通り仲間とうまい飯を食う」とラップする「Chill Dinner」もよい。
15.NAO「For All We Know」
このアルバムはいまだに曲名もわからないんだけど、ただ雰囲気がすごく好きでよくBGMとして使った。dvsnでもEskaでもよかったんだけど、特に後半聴いたのでとりあえずこれ。
なんというか、僕は英語を聴き取る能力がまわりの洋楽好きより著しく低いらしく、いままで一貫して、海外の音楽は歌詞がわからないまま聴いていたのがほとんどである。だから「雰囲気が好き」というだけで自分の好きなアルバムランキングに勝手に上位に入ってくるアルバムが山ほどある。それと似たような感じでこれは好き。
おまけ
16.IO「Soul Long」
17.ミツメ「A Long Day」
18.GANG PARADE「Barely Last」
19.Blood Orange「Freetown Sound」
20.A Tribe Called Quest「We Got It from Here... Thank You 4 Your Service」
21.Eska「Eska」
22.Campanella「PEASTA」
23.Frank Ocean「Blonde」
24.Radiohead「A Moon Shaped Pool」
25.callme「callme」
うまく聴き込めたアルバムが上位に来て、結果的に聴き込みきれていないけどなんとなくよかったなあというのが下位に来てしまっているので、評価としては正しくないのかもしれないなあと思いつつも。
ベストソング
1.宇多田ヒカル「忘却 feat. KOHH」
KOHHのヴァースと宇多田のフックの詞が、互いの前の詞に呼応するように進む。「明るい場所へ続く道が明るいとは限らないんだ」という宇多田の詞がそもそもすごいのだが、それに呼応したKOHHが「足がちぎれても/義足でも/どこまでも/走れメロス/口閉じてるけど/開ける目を/強い酒と/吐いたゲロ」と立て続けに細かい韻を踏みながらラップするところの性急さが、本当に「どこまでも」閉塞感があってすごい。閉塞的でありながら、スケールは壮大で、聴いていて不思議な気持ちになる。
変に今のヒップホップのフィールドに乗りすぎないKOHHだからこそこの曲に乗せることができたのではないかと思う。ずっとKOHHの魅力がよくわからないと言っていたのだが、この曲を聴いて大きく印象が変わった。
2.Bon Iver「CR∑∑KS」
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タイトルで謎に記号を使う感じは椎名林檎的なものを思い出すけど、こういうのって海外ではどのように受け入れられているんだろうか…。
オートチューンも含めたボーカルの多重録音だけで構成される曲。このタイプの曲ではじめて聴いてすごいと思ったのはJames Blakeの「Meet You In Maze」だったのだが、短くて、シンプルだったので結果的にいまではこちらのほうがよく聴くようになった。歌唱法と音作りのおかげか、歌詞の内容は、英語がわからないから(だけではなく歌詞自体が表現をぼかしている箇所も多いと思うけど)意味不明なところも多いが、より切実に聴こえ、一層孤独感が募る。日本語のリリック・ビデオが出てるというのもありがたいので何度も見た。
3.乃木坂46「裸足でSummer」
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2016年の乃木坂はこの曲を除いて楽曲面ではあまりよくなかったんじゃないかと思う。いや、すべてよかったことは事実なのだが、「君の名は希望」以降連綿と続く、「秋元康が『いいこと』を詞にして彼女たちに合唱曲とアイドルソングの間みたいに歌わせる」みたいな手法もそろそろ飽きが来たなあという感じがあり、特に「きっかけ」以降後半は素直に楽しめなかった。
ただ、この曲だけは別格に良かったと思う。夏の始まりのような陽気さがありながら同時に夏の終わりのような切なさもある。「さよならクロール」を連想させる。アッパーとセンチメンタルの同居こそ、アイドルソングに最強のエモをもたらすのだ。
4.BiSH「KNAVE」
これは割とマジなのですが、モモコグミ・カンパニーさんはアイドルとしてだけでなく作詞家として好きで、BiSHにドハマリしたきっかけのひとつは、彼女が作詞した「デパーチャーズ」という曲の「たかが運命なんてものは変えていける気がするんだ」という一節にあったりする。サビのメロディに乗っかった時の詞の説得力が凄まじく強い。本当になんか強気になれる。ニューアルバムのなかでは彼女はこの曲と「summertime」という全編英語詞の作詞を担当しているんだけど、とにかくKNAVEはよい。BiSHは基本的にアイナ・ジ・エンドの声がやはり強烈な個性だが、この曲は彼女の声はほとんど出てこない。サビの多くはセントチヒロ・チッチが歌っている。曲の雰囲気もパンクだが爽やかかつ穏やかで気持ちよく、歌の担当の割り振りが功を奏している。渋谷WWW Ⅱであった男限定ライブ「About a Boy」でこの曲をはじめてライブで見たとき、チッチさんが笑顔で「君に願うたくましく生きてほしい」と歌う姿を見て、隠れて泣いた。
5.シャムキャッツ「マイガール」
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確実にド名曲。いま気づいたけど、最近海外のインディーに興味が失せていたのは、ここ数年、ミツメ・シャムキャッツを中心に海外とくらべても遜色ないインディーが日本でも確実に著名になってきたからというのはあるかもしれない。「AFTER HOURS」「TAKE CARE(EP)」の頃は詞について三人称視点で客観的に表現することが多かったシャムキャッツだが、この歌は一人称視点の歌詞に戻ってきている。かなり歌詞の内容はとても個人的で、ちょっとダウンして不機嫌気味の女性に対し、そういうの面倒だからいつもの笑顔を見せてよーというだけの曲。なんか日常を切り取った感じが自然体で素敵だ。このインタビューもよかった(少し話がそれるけど、インタビューで言及されている西野カナ、たしかによい)。シャムキャッツを聴いてると、こういう雰囲気の音楽を日本語詞で聴けるということをとてもありがたいなあなどと思ったりする。
6.C.O.S.A.×KID FRESINO「Love」
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高校時代、友人にTodd Rundgrenをおすすめしてもらって一回だけ聴いたことがあったが、ピンと来なくてその後ほとんど聴くことがなかった、ということがあった。この曲、そのアルバム「something/anything」に入っていた「Marlene」を大胆にサンプリングしてトラックをつくっている。まずそのセンスにも脱帽だし、僕にTodd Rundgrenを聴き直すきっかけを与えてくれたっていう点でも個人的に素晴らしい。
だが、トラックもさることながらリリックが素晴らしい。
「随分変化してきた生活/見渡すと信頼できる人たちが/少しずつ増えてきてる/事実俺はマイクを回すことを覚えてる」(C.O.S.A.)
「干渉と言わずに互いを理解する/歩幅の違いを今は理解した」(C.O.S.A.)
「今夜俺は歩いて帰れるだけの酒を飲み/そして潰れたfriendsを跨いで振り返る」(KID FRESINO)
「Local trainを待つ数分間/ひとり誰かを思って書くSave your life」(KID FRESINO)
決してリスナーに直接突き刺さる詞ではないのかもしれないが、彼らのそれぞれの生き方が浮かんでくる詞が多い。誰かにやさしい声をかけてもらっているというよりは、誰かの話を聞いてそこから自分で考える、みたいな感じがある。素晴らしいリリック。これぞまったくもって「What love is」である(はあ?)。
7.KOHH「Die Young」
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2016年10月8日、日比谷野音にて発表されたBiSHのツアーの名は「NEVER MiND」であった。もちろんこれはNirvanaのかの名盤からとったものであることは明らかだが、奇しくも2016年、同じようにNirvanaを参照していたアーティストがいた。KOHHである(僕はBiSHを起点にしかこういう話ができないのだろうか)。
ラップとシャウトをごちゃまぜにするだけでなく、トラックにおいてもトラップとグランジをごちゃ混ぜにししてしまっているところが面白い。歌詞の内容もカート・コバーンやジミ・ヘンドリックスなどが登場し、若くして死んだロックレジェンドたちからの露骨な影響が伺える。彼はほとんど日記のように詞を書き続けているというが、中二病などという安易な批判にも物怖じしないような存在感の強さがカッコいい。KOHHは暗いものが多いが、この曲は特に暗いので、聴くのに少し勇気がいる(これを書くために何度も聴いていたら慣れてきた)。
8.欅坂46「2人セゾン」
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というか、欅坂46のシングル表題曲3曲、どれもがよかった。デビューに際しては平手友梨奈を中心とした革命集団的アイドルグループ像を確立するにふさわしい「サイレント・マジョリティー」を。その大ヒットの次にどのようなものが来るのかとファンが期待を寄せる中での2ndシングルは、ポエトリー・リーディングも取り入れた、夏らしいさわやかな「世界には愛しかない」を。そして2016年も終わりに差し掛かり、冬に近づくと、それまでの季節を振り返るかのようなセンチメンタルさを持った「2人セゾン」を。結果的にそうだっただけなのかもしれないが、時期に合わせそれに最適なシングルを出しているというところが欅坂46が、そこまでライブの本数を出していなくても、わずか一年でここまでの知名度を獲得したポイントなのではないかと思う。どれも最高なので全部をベストにあげたいんだけど、とりあえず一つ挙げるとしたら最新だろうということで。小池美波さんフロントおめでとう!!!!!かわいいよ!!!!!!!!!
9.Anderson Paak.「Celebrate」
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上に挙げたKOHHのインタビューが収録された「SWITCH」(指原莉乃が表紙のやつだ)を渋谷のTSUTAYAで買って、東横線で読みながら聴いていて「なんだこれ、とても雰囲気がよいな」と思ったのをよく覚えている。その日は気持ちいいくらい晴れてて、なんかその雰囲気も相まって、「うわ、すげえいい曲だな」と思った。聴いてると懐かしい気持ちになるんですよね。彼のアルバムの中ではそこまで人気な曲ではないらしいのだが、僕のAnderson Paak.の入り口は確かにここである。なんで好きな人いないのかなあとずっと思っていたのだが、あるときApple MusicのCINRAのプレイリストに載っているのを発見して、なんとなく安心した。そういう曲。
10.Whitney「No Woman」
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変化の只中をさまよう男が「No woman...」と歌うだけのシンプルな曲で、なんだかその不安定さが自分と重なってとても好きな歌詞。でも歌詞だけでなくリフもよい。こういうシンプルだけどアルペジオとハンマリングやプリングを使って少しメロディアスにしているギターリフが好きなんだよ。こういう曲を書いてミュージシャンになりたかったなあと思う。
総じて
1.歌詞の大切さ
僕はとかく英語詞を歌詞として聴き取る能力がないので、特に洋楽の歌詞は軽視してきた。というか、軽視することしかできなかったというか。それで特に後半は、いままでほとんど読まなかった英語の歌詞をそこそこ読むようにした。訳詞だけでなく、自分で訳してみたりもした。ついでにPitchforkを自分で訳したりもしていた。それでとにかくすごいなと思ったのは、ごく当たり前のことなんだけど、海外にもこんなに突き刺さる歌詞がたくさんあるんだなということだった。2016年の新譜だけでもこんなに好きな詞が出てくるとは…という感じ。
いままで単なる音として聴いていた海外の音楽は意味をとかく確認するようになった一方、いままで詞の内容を意識して聴いていた日本の音楽は、音や響きを意識して聴くようになった。宇多田ヒカルと椎名林檎の「二時間だけのバカンス」なんかは実はかなり韻を意識して詞を書いていることがわかる。日本語で韻が踏めないは確かに嘘だなと思った。また、韻を意識して聴いていると必然的に内容もより耳に入ってくるので突き刺さるものが多かった。
アイドルを作詞家としてリスペクトすることになるとは思ってもいなかったし、歌詞アプリ(Musicmatch、Genius)はかなり使った。それでもまだ歌詞を聴くということができていないので、もっともっといろんな詞を意識して聴いていこうと思う。
2.追いきれない
上記のように歌詞を意識していると、そのアルバムをまともに聴くのにかなり時間がかかる。加えて僕は結構一度好きになったものを一時期とにかく聴きまくるという性質があるので、別のものに手が届かなくなる。Apple Musicのおかげでいろいろな音楽を手軽に聴けるようになったが、それ故に手が届かない部分にも目がつくようになった。「一人の人間が使える時間は有限なのだな」ということを改めて思う。「20XX年ベストソング」とかって延々とこう30曲とか50曲とかあげまくってるひとって、そんな簡単にベストに挙げれるほどその音楽聴いたのか?って感じもしている。まあ、音楽なんてもっとライトな聴き方をされるべきものだし、聴き方なんて人それぞれなので、どーでもいいのですが。
3.アイドルとアーティストが対等になった
「楽曲派」なるものがあらわれてからそもそもアイドルもそれ以外の音楽もすべてフラットに聴くよという人間は増えたわけだけれども、2016年は個人的な感覚としても、本当にアイドルだろうがバンドだろうがなんだろうが楽しみ方があまり変わらなくなったという感じがした。しかもかなり強く。「世界には愛しかない」がラジオではじめて公開されたとき、「オーケストラ」のMVがYouTubeで公開されたとき、それをリアルタイムで聴いていたのだが、高校生のときにバンプの「Supernova」をラジオで聴いていたときの感覚にそっくりだった。当時は、聴き終わったあとツイッターを見るのではなく、2chかなにかを見ていたと思うんだけど。
なんかのブログで、「『楽曲派』という言葉をアイロニーなくベタに使っていた人間たちはいまこぞって『フリースタイルダンジョン』を見てると思うんですけど(笑)」みたいな感じでバカにした言い方をしていたのを読んだのだが、僕はその、いまこぞって『フリースタイルダンジョン』を追っかけてる人間なので「ぐぬぬ」ってなった。センスの悪い人間ですいません。でもいま、音楽ジャンルとしてのアイドルかどうかって、相当どうでもいいのだろうなという感じがした。
どんな大切なレコードでも古いレコードはすべて売っぱらってしまうべきだし、買ったばかりの新しいシャツを着て、行ったところのない場所に遊びに行くべき。というのが自分自身の基本的なアティチュードなので、むしろ満点のレコードとか特に必要ない。そんな感じ。@PassionateJp1
— 田中宗一郎 (@soichiro_tanaka) 2016年8月23日
2017年も素敵な新しい音楽に出会えますように…。自意識垂れ流し。