12月07日 19時21分
6日、飼育していたコクチョウ1羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出た名古屋市の東山動物園では7日朝から職員が園内の消毒を行うなど対応に追われました。
名古屋市千種区にある東山動物園では、6日、飼育していたオスのコクチョウ1羽の簡易検査を行ったところ、鳥インフルエンザの陽性反応が出ました。
このため、動物園は7日午前6時すぎから、職員約30人が急きょ消毒作業を行い、コクチョウを飼育していた池のまわりの植え込みや通路に消毒液や石灰などをまきました。その上で動物園は、7日は午前9時に通常通り開園しましたが、入り口には来園者の靴底を消毒するマットを設置したほか、鳥に近づくことができる施設や池、計3か所を立ち入り禁止にするなど職員らが対応に追われました。
動物園では簡易検査で陽性反応が出たコクチョウの検体などを鳥取大学に送っていて、結果は1週間ほどでわかるということです。
東山動物園は、8日も一部施設を除いて通常通り開園する予定で、引き続き消毒を徹底するなど感染拡大の防止に努めることにしています。
名古屋市の東山動物園で飼育していた鳥から鳥インフルエンザの陽性反応が出たことを受けて、愛知県は、7日、動物園周辺で他に感染した野鳥が死んでいないかパトロールを始めたほか、近隣の養鶏場の調査も行いました。
愛知県によりますと、7日の調査では感染が疑われるケースはなかったということです。
また、県は東山動物園と動物園から3キロ圏内にある養鶏場の調査も行いました。
その結果、感染が疑われる新たなケースはなかったということです。
インフルエンザウイルスに詳しい中部大学生命健康科学部の鈴木康夫客員教授は鳥から人への感染について「東南アジアなど海外では感染した鳥に直接触れたり、十分加熱しないままその肉を食べたりした人や、排泄物を深く吸い込んで、感染したケースの報告はあるが、日本ではこれまで鳥から人に感染した報告はない。通常の生活をしていれば国内で人に感染することはほとんどないと考えていい」と過剰な心配はしなくていいと話しています。
その上で、鳥はさまざまなウイルスを持っていることもあり、最低限の注意は必要だとして「野鳥の死骸を見つけたら触らないようにして、もし触れた場合は手洗いや、うがいを丁寧にしてほしい」と話していました。
愛知県内の動物園や公園などは感染防止の対策を急いでいます。
このうち75種類、350羽の鳥を飼育している愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園は野鳥が飛来する公園内の池の水を抜くことを決めました。
工事のために1メートル前後に減らしていた水位をさらに減らすため、7日朝から排水作業を急いでいます。また、鳥の展示施設に野鳥やウイルスがついたネズミなどの小動物が入りこまないよう網や壁に穴がないか調べました。
そして、隙間などをみつけると、ネットを張って塞いでいきました。
豊橋総合動植物公園では飼育している白鳥やガン、それに、ダチョウなどを7日までに屋内に移す対策をとっていて、これまで飼育している鳥に異常はみられないということです。
一方、愛知県内の養鶏業者は警戒を強めています。
このうち、常滑市檜原で採卵用のニワトリを16万羽飼育している市田真新さんは、11月下旬から養鶏場の周辺に石灰をまいて消毒をするなど対策を始めていました。
7日からは感染のリスクをより減らすため、部外者の立ち入りを制限することにし、施設につながる通路に侵入禁止を伝える看板などをおくことにしています。
市田さんは「名古屋で発生した可能性があると保健所から連絡をもらい不安に思っています。より一層、感染の予防対策に取り組みたい。今回のことで卵を食べるのが怖いなどという思いにならないようにしてもらいたい」と話していました。
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