コンクリひび、レーザーで見つけ切除 京都の研究機関開発
トンネル内壁などのコンクリートのひび割れや内部の欠陥をレーザー光で見つけ、もろい部分を別の強力なレーザー光で切断して取り除く技術を、関西文化学術研究都市の量子科学技術研究開発機構(木津川市)や理化学研究所などのグループが開発した。「熟練の技術者に頼っていたトンネルや橋の保守点検の効率化につながる」としている。
トンネルなどのコンクリート構造物の保守点検作業は、技術者が目視や触診で異常を見つけ、ハンマーによる打音検査で内部状態を推定し、はがれ落ちる恐れがあれば手作業でたたき落としている。高度経済成長期に造られたコンクリート構造物は劣化が進んでおり、作業の効率化が求められている。
グループは屋外テントの実験場で、レーザー光を直径約0・2ミリに集光するなどの手法で、5メートル離れた場所からコンクリート片の幅約0・15ミリほどの小さなひび割れや水漏れ箇所を探し出すことに成功した。また、高強度パルスレーザーを照射してコンクリートを振動させて、内部の異常も見つけることができた。
さらに、強力なレーザー光を直径約1ミリに集光し、コンクリートを約20ミリの深さまで溶かす実験にも成功した。コンクリートのもろい部分を切除する技術になるという。
グループの錦野将元研究員は「実用化に向けて、実際のトンネルなどでも実験し、装置の小型化を進めたい」としている。
【 2016年12月06日 22時30分 】