1、ねじまき鳥クロニクル
「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。(アマゾンより引用)
4、国境の南、太陽の西
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう――たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて――(アマゾンより引用)
5、1Q84
こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。
(アマゾンより引用)
空に月が2つ
予備校で数学を教える講師の川奈天吾は、仕事の傍ら本の執筆に勤しんだり、新人賞候補の作品の下読みを編集者の小松から託されている。ひょんなことから「空気さなぎ」と巡りあった天吾は、ミステリアスな少女、深田絵里子との関わりから、いつしか空に月が2つ浮かぶ世界へと迷い込んでしまう。その世界で天吾は小学生の時の同級生、青豆雅美と劇的な邂逅を果たす。元の世界へと向かって歩みだしていく2人に待ち受ける運命とは何なのか。
6、レキシントンの幽霊
古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか? 椎の木の根元から突然現れた緑色の獣とそのかわいそうな運命とは。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極に行こうとしたのか……。次々に繰り広げられる不思議で、楽しく、そして底なしの怖さを秘めた7つの物語。
(アマゾンより引用)
7、海辺のカフカ
「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真……。 (アマゾンより引用)
8、神の子どもたちはみな踊る
1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる……。(アマゾンより引用)
9、ダンス・ダンス・ダンス
『羊をめぐる冒険』から4年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。70年代の魂の遍歴を辿った著者が80年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。(アマゾンより引用)
10、羊をめぐる冒険
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている21歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい<鼠>の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。
(アマゾンより引用)
冒険のはじまり
この「羊をめぐる冒険」は大好きな作品で、今でも時々読み返します。
主人公の「僕」は、大学時代の友人と広告代理店を経営していて、
離婚したばかり。ある日会社に、右翼の大物の秘書という謎めいた男が現れ、
僕が手掛けた保険会社のPR誌の発行停止を求めます。
冊子に掲載されている写真に写っている「羊」が問題なのだ、と。
「今日から二ヵ月以内に君が羊を探し出せれば、我々は君が欲しいだけの報酬を出す。
もし探し出せなければ、君の会社も君もおしまいだ」。僕は、新しいガールフレンドと一緒に、羊を探す冒険に出る…
謎が謎のまま終わりません
その後の冒険では、いるかホテルに住む羊博士やら、羊男が登場して、春樹ワールド全開なのですが
、推理小説のような緻密なストーリー運びが読者を引き込んでいきます。
「ねじまき鳥クロニクル」や「海辺のカフカ」など、
村上春樹独特のファンタジー混じりの謎が散りばめられた小説を読んで
いつも思うことは、この謎は一体何だったの?ということ。
それを追求するのはヤボ、などとも言われるけど、
思わせぶりな謎だけに、ある程度解明してほしいとどうしても思ってしまいます。
そんな中で、この小説は「羊をめぐる謎」がきちんと解明されていきます。
11、パン屋再襲撃
堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来、僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古のカローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した……。
(アマゾンより引用)
13、1973年のピンボール
「電灯のスイッチを切って扉を後ろ手に閉めるまでの長い時間、僕は後ろを振り向かなかった。一度も振り向かなかった」東京で友人と小さな翻訳事務所を経営する〈僕〉と、大学をやめ故郷の街で長い時間を過ごす〈鼠〉。二人は痛みを抱えながらも、それぞれの儀式で青春に別れを告げる。『風の歌を聴け』から3年後、ひとつの季節の終焉と始まりの予感。「初期三部作」第二作。 (アマゾンより引用)
14、遠い太鼓
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。その音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ――。40歳になろうとしていた著者は、ある思いに駆られて日本を後にし、ギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。
(アマゾンより引用)
15、色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
多崎つくる、鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。
何の理由も告げられずに――。(アマゾンより引用)
死に取り憑かれるほど悲しいこと
「多崎つくる」は大学生の頃ずっと死にたいと思っていた青年期のエピソードを好きな女性に語るところから始まります。多崎つくるは生まれ故郷で大切な友達が四人いました。名字に色彩に由来したあだ名を持つ友人たちにある日突然に拒絶されてしまいます。なぜ大事な友人たちが自分を拒絶したのか理解ができず苦しさからつくるは死の願望に取り憑かれていたと語ります。好きな女性はつくるに尋ねました。どうして彼らはあなたを拒絶したのかしら、と。
16、アンダーグラウンド
魂の最奥部を見つめ続けてきた作家が、62人の関係者への丹念なインタビューを通じて浮かび上がらせる現代日本の、そして人間の底深い闇。強い祈りをこめた、渾身の書き下ろしノンフィクション。 (アマゾンより引用)
19、女のいない男たち
絡み合い、響き合う6編の物語。村上春樹、9年ぶりの短編小説世界。
(アマゾンより引用)
20、風の歌を聴け
「あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風に生きている」1970年8月、帰省した海辺の街。大学生の〈僕〉は、行きつけのバーで地元の友人〈鼠〉と語り明かし、女の子と知り合い、そして夏の終わりを迎える。
(アマゾンより引用)
短い夏のお話
1970年の8月8日から8月26日、『ジェイズ・バー』を中心に、
大学生の「僕」と友人の「鼠」、そして2人をめぐる人々のお話。
現在の「僕」の想いや、「僕」と「鼠」の出会いなど、
時間を超えた場面も含めた40個の短いエピソードが、断片的に連なっています。
大きなドラマではなくて、一つ一つが独立しているような、
短い場面が並べてあるだけのような話。
物語の最初と最後に、現在の「僕」が、デレク・ハートフィルドという作家についての想い、
そして文章を書くことについての想いが綴られています。
ハートフィールドにどう影響されたのか、文章を書くことの辛さのようなもの。
物語のキーワード
本編の夏の話には、この小説以降に書かれた、
村上さんの傑作の数々に出てくると思われる人物が登場しています。
鼠、指が4本しかない女の子、後に自殺してしまう女の子等々。
暑い暑い夏の様子、郷愁もありつつ、
でも湿っぽくなくどこか客観的に見ているような、乾いた感じで、物語は進みます。
暑い夏の昼間に、うたた寝して見た夢のような感じ。
一つ一つのエピソードは、全く感情的には描かれていないけど、
若い頃のヒリヒリした思いや、他人と分かり合えない悲しさのようなものがふっと感じられる。
なぜこの物語が生まれたか?
この短い夏に「僕」が感じたり考えたりしたことには、膨大で深い村上春樹ワールドが広がっている。
村上さんの以降の作品には、不思議で一見理解が難しいものが多いけど、
世界観がハートフィールドという作家の、
膨大な世界に影響されて、多くの傑作が生みだされたんじゃないかな?。
この小説自体の不思議な世界観も魅力だけど、他の作品を読んでから、
この小説を読むと、これが村上さんの原点で、他の全ての作品の序章になるような気がする。