第34回、改造計画
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クリーブランド・キャバリアーズ
クリーブランド・キャバリアーズは前後に大きな2つの問題を抱えている。 1つは現在のチーム状況を改善する必要があること。これを怠れば、エースのラブロン・ジェイムスがチームに愛想を尽かし、いくつかのチームがサラリーキャップスペースを空けて待ち望んでいる2010年にFAで移籍するということも実現しかねない。 2つ目は、その2010年問題だ。ファイナル進出まで果たしたキャブスの次の目標は間違いなくNBA制覇。これはチームがここまで前進してきたという証でもあり、優勝できなかった場合、前に進めなかったとしてどんな補強も失敗だと判断される可能性があるということだ。「なら、チャンピオンになれる補強を」と真っ当な人間は考えるが、私のような臆病者はどうしても「ダメだった時」のことを考えてしまう。ダメだった時、どうすればエースの離脱という大きな危機をチームは乗り越えることができるのか。 私はこの問題をクリアするには、キャブスこそがキャップスペースを空けておくことだと考えた。 昨シーズン、ボストン・セルティックスがケヴィン・ガーネット、レイ・アレンを獲得し、ビッグ3を作り上げ、チャンピオンになった事実はいまだ強烈なインパクトとして残している。 2010年のオフ、LBJがFAという時に、他のビッグネームと契約することができれば、それはその時点までにもし優勝ができていなかったとしても、引止めるための大きな力となってくれるのではないだろうか。 そこで考えたのが、 クリーブランド・キャバリアーズ → マイアミ・ヒート → ゴールデンスティト・ウォーリアーズ という三角トレード。 ウォーリアーズはアル・ハリントンをトレードし、インサイドとバロン・デイヴィスの代わりを補強したいと考えている、と報じられている。 ヒートはここまで2010年問題に全力投球する構え。そうなると現状で契約が2010年時点で残っているマーカス・バンクスを放出し、来シーズンのサラリー総額を抑え、ジェイムス・ジョーンズと契約したような、チームの望む契約をしたがっているのではないか、とも考えられる。 そこで、以下のトレードを成立させる キャブスのヒートへの放出 ウォーリー・ザービアック(契約残1年1300万ドル)+アンダーソン・ヴァレジャオ(同2年1200万ドル、来シーズン578万ドル) 来シーズンのサラリー総額1878万ドル 契約残合計2500万ドル ヒートのウォーリアーズへの放出 ショウン・マリオン(1年1718万ドル)+マーカス・バンクス(3年1340万ドル、来シーズン417万ドル) 来シーズンのサラリー総額2135万ドル 契約残合計3058万ドル ウォーリアーズのキャブスへの放出 アル・ハリントン(2年1925万ドル、来シーズン922万ドル)+スティーヴン・ジャクソン(2年1480万ドル、同714万ドル) 来シーズンのサラリー総額1636万ドル 契約残合計3405万ドル ちなみに、ルール上、サラリーキャップを越えているチームは、トレードで獲得する選手のサラリーが「放出した選手のサラリー×125%+10万ドル」以内と決められている。 このルールではヒートは放出した選手のサラリーが2135万ドル、獲得が1878万ドル。なので問題なし。 キャブスは放出した選手のサラリーが1878万ドル、獲得が1636万ドル。同じく問題なし。 ウォーリアーズだけ、放出した選手が1636万ドルに対し、獲得が2135万ドルとなっている。しかし、ウォーリアーズは現在、来シーズンのサラリーキャップを総額が下回っており、このルールは適応されない為、問題とはならない。また、このオフに既に結んだコーリー・マゲッティに続き、大型契約が噂されるウォーリアーズ。このトレードで来シーズンのサラリーは増えるが、走れて、守れて、リバウンドが拾えるマリオンを獲得することになる。更に契約延長に合意してもらう必要があると思われるが、マゲッティとの契約からも今オフでの補強を重視していることが伺えることから、難しい交渉になるとは思うが、ない話ではないと考えている。 サンズでそうだったように、マリオンはランニングゲームでその能力を遺憾なく発揮する。ドン・ネルソンHCは獲得を希望するのではないだろうか。 キャブスはこのトレードで、チームに対し不満いっぱいだったヴァレジャオを放出し、得点力のあるハリントン、しぶといスコアラーであるジャクソンを獲得する。なおかつ、2人とも契約が2010年には切れる為、問題の2010年問題には影響がない。これで前後の問題を解決へつなげるのではないかと考えている。 更にチームから制限付きFAとなっているダニエル・ギブソン、デロンテ・ウェストとの再契約を成功させる必要がある。 PG D・ウェスト(控え、D・ギブソン、E・スノウ) SG L・ジェイムス(D・ジョーンズ) SF S・ジャクソン(A・パヴロヴィッチ) PF A・ハリントン(J・スミス) C Z・イルガウスカス(B・ウォレス) 主にインサイドはハリントン、イルガウスカスにウォレスの3人で回すことになる。そうすることでゲームによって変わると思われるベンチスタートの誰かが不満をためない程度にはプレータイムが確保できるはず。 これでいいのだが、問題はギブソン、ウェストとの再契約が失敗に終わった場合だ。 キャブスは既に来シーズンのサラリー総額がサラリーキャップどころか、ラグジュアリータックス課税ラインをも超えており、残したくても両選手に出されるオファー次第ではマッチできないことは充分に考えられる。 その場合、PGの補強が必須となる。 第一希望としては、キャブスが古巣でもあるアンドレ・ミラーの獲得。 だが、フィラデルフィア・76ersはエルトン・ブランドを無理をしてまで獲得しており、優れたベテランPGを放出させるとなると難しい交渉が余儀なくされる。また、ミラーが来シーズンが契約最終年であるので、キャブスがオファーできる選手の売り(契約最終年)が意味をなさない。指名権、もしくは来シーズンのサラリー抑制、というのが考えられる手だが、後者では弱いか。 続いては、インディアナ・ペイサーズのジャマール・ティンズリーの獲得。 ペイサーズがバイアウトまで考えているとされるティンズリー。ジャーメイン・オニールのトレードでT.J.フォードを獲得したペイサーズにおいて、よりティンズリーの立場は厳しいものになったと思われる。 ここへ契約最終年のエリック・スノウでもオファーしたら、二つ返事で了解が得られそうだが、問題はティンズリーが2010-11シーズンまでの3シーズン、契約を残していることだ。 (注:ちなみにスノウも契約のバイアウト、その後、故郷でもあるアトランタ・ホークスとの契約を希望している、とも報じられたことがある) 現時点で、キャブスはLBJ以外とは2010-11シーズン以降の契約を結んでおらず(プレイヤーオプション)、ティンズリーの750万ドルぐらいはよしと考えるか、別の道を探すかとなる。 別の道としては、ポートランド・トレイルブレイザーズのスティーヴ・ブレイク、デトロイト・ピストンズのチョウンシー・ビラップス、シアトル・スーパーソニックスのルーク・リドナーorアール・ワトソンなどがあげられる。 しかし、ピストンズは現在、大物選手の獲得(トレイシー・マグレディ、カーメロ・アンソニーなど)を狙っているとされており、ビラップスはそのトレードの際に交換要員となる可能性も充分あり、少なくともその「大物選手の獲得」がどうなるかが決まらない限り、ビラップス単独でのトレードというのは難しいのではないかと思われる。 ポートランド・トレイルブレイザーズはドラフトでジャレット・ジャックに、ジョシュ・マクロバーツ、13位指名したブランドン・ラッシュまでを放出し、インディアナ・ペイサーズが11位指名したGのジェリード・バイレスを獲得している。 ジャックを放出したことで、ブレイクの重要性は増すかとも思われたが、ネイト・マクミランHCはこれまでではジャックを多用し、ブランドン・ロイをPGで起用してみたりしており、ブレイクを信用しきっているようには見えない。そう考えた場合、放出は条件次第でありえるのではないだろうか。 この場合、条件となるのはブレイザーズのベテラン不足を解消することと、サラリー総額の抑制か。 昨シーズン、怒涛の連勝を記録していながら、プレイオフ進出を逃したブレイザーズには、安定した働きのできるベテランが必要。更にラグジュアリータックス課税ラインを超えているサラリー総額も気になるところ。 そこで、ジョー・スミス(契約残1年478万ドル)と、デイモン・ジョーンズ(同1年445万ドル)と将来の2巡目指名権でオファーし、ブレイク(2年952万ドル、2年目はチームオプション)とチャニング・フライ(2年742万ドル)を獲得する。 これでブレイザーズはインサイドにベテランを、ジェイムス・ジョーンズが抜けたアウトサイドにD・ジョーンズを獲得することになる。だが、来シーズンのサラリーが放出が775万ドル、獲得が923万ドルとなり…150万ドルほど増えてしまう。更にタックス分を入れると300万ドルもの支出増となる。また、付けられた指名権が2巡目であることも考えると、ブレイザーズ側がどうしても成立させたいと思う内容にはなっていない。ブレイザーズとは、他の選手も交えたトレードも考慮したが、トラヴィス・アウトローはブレイクもそうだがチーム側に有利な契約内容(妥当な契約額と2009-10シーズンがチームオプション)となっており、他ではジョエル・プリズビラぐらいがトレード要員となりそうだがプリズビラは2010-11シーズンまで契約が残っており、プリズビラを獲得してしまうとティンズリー獲得を見送った意味がなくなってしまう為、却下。 ブレイクを獲得しようと思えば、並外れた交渉力か、1巡目指名権の放出が必要となる。将来獲得できる1巡目指名の選手がフライと秤にかけて、どちらがより優れているかということを考えると、私は指名権の放出も悪くないとは思う。フライはベテラン揃いのキャブスにあって、2010年問題以降を担う存在となってくれるはずだ。 シアトル・スーパーソニックスからのルーク・リドナーofアール・ワトソンの獲得については、スタータークラスのPGを二人抱えている理由はソニックスにはなく、契約最終年の選手と2巡目指名権をオファーすれば獲得可能なのではないかと考えている。 希望はエリック・スノウ(契約残1年731万ドル)でのリドナーの獲得。ディフェンス力のあるワトソン獲得のほうをマイク・ブラウンHCは希望するかもしれないが、キャブスはこの布陣となると、ゲームのテンポが速いシーンが多いことが予想される。そうなった場合、ディフェンスとスローテンポで手堅いプレーを売りとするワトソンより、判断力に優れたリドナーのほうが適任なのではないかと私は考えている。 この中で、やはりオフェンス、ディフェンス共に安定した力を発揮するブレイクとフライを獲得できる、ポートランド・トレイルブレイザーズとの案を第一希望としたい。 更にはD・ギブソン、D・ウェストの再契約だが、失敗するにしても両方とは考えにくく、ここではより契約額が低いと思われるギブソンとの契約に成功している、と仮定したい。 その際に使用すると思われるミドル例外条項の残りを使って、SG-SFに一人、PF-Cに一人、それぞれベテランを獲得し、計12名のロスターを完成としたい。 アウトサイド側では第一候補マイケル・フィンリー、第二候補イラ・ニューブル、第三候補ケイシー・ジェイコブセン、インサイド側では、セオ・ラトリフに候補を絞りたい。 PG S・ブレイク(控え、D・ギブソン、E・スノウ) SG L・ジェイムス(A・パヴロヴィッチ) SF S・ジャクソン(M・フィンリー) PF A・ハリントン(C・フライ) C Z・イルガウスカス(B・ウォレス、セオ・ラトリフ) フィンリーにラトリフの獲得、インサイド陣の不満など、難しいところはあるが、一番の難所はウォーリアーズとマリオンの契約延長だろう。 この交渉が適度な内容におさまれば、可能性は増すが、マリオンがエルトン・ブランド級のサラリー(年平均1500万ドル以上)などを希望すれば、まとまる話もまとまらない。しかし、コーリー・マゲッティが5年5000万ドルの契約をウォーリアーズと結んでおり、これより多くないと納得はしないだろう。総額6000〜6500万ドルぐらいでの5年契約、ならまだなんとか…なる?。もしくは3年4200万ドルとか期間を縮めるとかなら? ジャクソン、ハリントンにはミドルから外のショットがあり、LBJのプレーを妨げることは無い。また、ハリントンにはレシーバーとしての才能があると私は考えており、マークがLBJに集中し出せば、いい働きをしてくれるんじゃないかと考えている。 控えで波にあったパヴロヴィッチだが、そこはフィンリーの安定感が補い、時にはCにフライを入れ走る展開に持っていくのもいいだろう。ウォレスが対処できない高さのある相手にはラトリフが入れば問題ない。スノウはバイアウトを希望している、とも言われているが、プレータイムは伸びることは無いだろうがぜひベンチにいてもらいたい。まだ若い2人のPGにとってその恩恵は大きいものと思われる。 このチームはラブロン・ジェイムスのチームだ。だが、これまではあまりにもその色が強すぎた。LBJのLBJによるLBJの為のチーム、では勝てない。LBJとハリントン、それに多くのプロフェッショナルたち。それぐらいは主張ができるメンツを揃えてみたつもり。 デトロイト・ピストンズが現状のロスターを大幅に変更し、来シーズンに挑むものと予想され、ボストン・セルティックスは昨シーズンに引き続き、ビッグ3がチームを牽引する。 セルティックスは昨シーズン同様、ベテラン選手との契約が相次ぐことになるだろう。そうなった時、このチームの「走れる」という強みが生きてくるはず。 あとは、ウェスタン・カンファレンス。 ファイナルであたるのが、昨シーズンより健康でガソルがチームになじんだロサンゼルス・レイカーズか。そうなった場合の為にも、トライアングルディフェンスの弱点とも言えるゾーンディフェンスをこの走れる面子で完成させておく必要がある。コービー・ブライアントをストップさせる役はスティーヴン・ジャクソンに期待したい。マイク・ブラウンHCはジャクソンを獲得したら、そこまでの道筋を語り、オフにしっかり準備してくるよう伝えておく必要性がある。プレイヤーとして、コービー・ブライアントを任させるというのは大きなモチベーションとなるはずだ。それさえ、ジャクソンのディフェンスが一定の効力を発揮できれば、トリヴァー・アリーザがディフェンスでの経験地を飛躍的に上昇させていない限り、LBJを止められる選手はいない為、勝てるはずだ。 ブレイザーズとのトレードでも触れたが、今回の一連のトレードでキャブスは計400万ドルほどのらいシーズンのサラリー削減にも成功している。タックスの支払いも入れると800万ドルの支出削減につながる。ギブソン、フィンリーなどとの契約でチャラになるとは思うが。 戦力を向上させ、かつ2010年問題に準備する。 一応、形としては整えたつもりだが、テンション高く書いている時には気付かない点もあろうかと思われる。お気付きの点等あれば、ご指摘いただければ幸いです。 asua |