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エストニア共和国より愛をこめて

北欧の小国に留学中の大学生が当地への留学や観光、社会生活についての情報などをお届けします

「まとめサイト」にブログ記事が無断転載されていたので損害賠償を請求してみた結果

お知らせ

2ch まとめサイトに記事が無断転載されているのを発見

先日、当ブログで以下の記事を発表しました。

www.from-estonia-with-love.net

お読みいただければおわかりのとおり、中川淳一郎さんの発言に対する反論をとっかかりに持論を述べたものです。この記事については掲載開始から現在までに9000近いアクセス数が記録されているので、そこそこ多くの方に読まれたようです。

ここまでは何の問題もないんですが、この記事への訪問ルートを解析したところ、とあるまとめサイトからのリンクをたどってのアクセスが一定数あったんですよ。そしてリンク元のURLを開いてみると……。

(後述の理由により記事が削除されているため、Google によるキャッシュをどうぞ)

日本で大規模なデモが起こらないのは「強いものには絶対に逆らってはいけない」という抑圧があるから:哲学ニュースnwk

あらま! わたくしの文章が無断転載されているではありませぬか! どういうこっちゃ!

文字数をカウントしてみたところ、私の記事全文2231字の記事のうち、859字分が無断で転載されていました。分量にして全文のうち4割近くを勝手に載せてしまっているわけです。

さらに、このまとめ記事そのものが 2ch のスレッドからの転載でした。

日本で大規模なデモが起こらないのは「強いものには絶対に逆らってはいけない」という抑圧があるから

こちらはさらにひどくて、記事全文を無断で転載しております。記事タイトルをネタを割る形に改変してしまったのもここ。

これは悪質な著作権侵害ですね。ということで、無断で転載を行ったサイトの管理者に損害賠償を請求してみることにしました。

著作権法と引用ルールについて

損害賠償請求の前に、著作権法について少しだけ確認してみましょうか。なぜかというと、どうやらこういったいわゆる「まとめサイト」は、「正当な引用の範囲内である」とか理由をつけて無断転載を正当化しているっぽいんですよ。ただのコピペで小銭稼ぎしているだけの卑しい連中が何言ってんだって感じですよね。

適当に検索してみたんですが、どうやら引用にもルールがあるっぽいですよ。

引用 - Wikipedia

32条(引用)

  1. 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

48条(出所の明示)

  1. 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
    • 一 第32条〔・・・〕の規定により著作物を複製する場合
    • 二 〔略〕
    • 三 第32条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合〔・・・〕において、その出所を明示する慣行があるとき。
  2. 前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。

 引用(2016年10月6日 (木) 11:58 UTCの版)『ウィキペディア日本語版

これらを参照すると、たぶん最初に引用した 2ch 記事も、それをさらにコピペした「哲学ニュース」も、「著作権法32条に則った正当な引用」とは言えないと思うんですよね。だってわたしの記事について何か論評しているわけではなく、何の必然性もないただの無断転載ですから。特に 2ch にいたっては記事全文ですよ。

第48条の「出所の明示」についても規定を満たしておりませんねえ。2ch も「哲学ニュース」もいちおうURLを貼り付けてあるだけで、ブログ名なし、筆者名なし、タイトルなし(どころか無断で改変している)という。おまけに 2ch のほうは引用符などがないので、どこからどこまでがわたしの記事なのか判然としない形で転載されています。

まあただの無断転載ですから端っから正当性もなにもなさそうですが、いちおう確認してみました。もしかしたら専門家によっては見解がわかれる点があったりするのかもしれませんが、とりあえず金を請求してみましょう

わくわくしながら損害賠償請求メールを送信

……ということで、とりあえず「哲学ニュース」に賠償金を請求してみました。「2ch」はどこに連絡したらいいのかわからなかったので後回しにすることにします。あと、この辺のしょぼいアフィリエイト小銭稼ぎサイトなら裁判になる前に割りと簡単に金払ってくるかなと思いまして

以下がわたしが実際に送信したメールの文面です。

「哲学ニュース」ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。

2016年12月2日に貴サイトが掲載されました記事、
「日本で大規模なデモが起こらないのは「強いものには絶対に逆らってはいけない」という抑圧があるから」
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/5140300.html
にて、当方が自身のブログサイトで発表いたしました文章が、著作権法第48条の規定を満たさない状態で転載されていることを確認しました。

つきましては、該当記事から当方の著作部分を削除していただくか、または著作権法第48条を遵守する形での引用に訂正をお願いいたします。

また、当該ページの公開時点から現在までの当方に対する権利侵害の補償として、「金5,000円」を下記銀行口座にお支払いいただきたいと思います。勝手ながら期日は2016年12月12日とさせていただきます。

<ここに銀行名と口座情報>

ご対応をいただけない場合、貴サイトに対し法的手段を取らせていただく所存ですので、書面のお送り先の住所をご返信ください。

早急のご対応をお願いいたします。

エストニア共和国より愛をこめて(http://www.from-estonia-with-love.net/)」筆者

木野 寿紀

 ※注・著作権法32条についてはうっかり言及を忘れてました(笑)

請求金額が5000円という実にしょぼい金額になっていますが、これが3万円とか5万円だと「だったら訴訟で構わん」ってことになりそうで面倒かなと思いまして。5000円くらいならポンと支払うだろうという打算です。

まとめサイトからの返事

そしてメール送信から約半日後。「哲学ニュース」管理人から以下のような返信が届きました。

木野寿紀 様

 

哲学ニュース担当者です。

 

下記ご指摘の記事について引用が著作権法第48条を遵守されていないことに対しご迷惑をお掛けしました。

下記記事は削除訂正完了しました。

 

また権利侵害の補償として、「金5,000円」を下記銀行口座に振り込みましたので明日以降確認お願いいたします。

記事の件でご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。

お! なーんだけっこう素直にお金払ってくれるじゃないですか。5000円ごちそうさまで~す(しかしもうちょっと吹っかけとけばよかったかな)。

ということで、これをもって、

まとめサイト哲学ニュース』は、無断転載1件の賠償金として最低でも5000円は支払う」

ということが明らかになりましたので、当該サイトに著作権を侵害された経験のある方はじゃんじゃん請求されたらよろしいのではと思います! 

しかしいまどきプロのライターさんでも二束三文の原稿料で使おうとするWEBメディアが多いと聞きますから、わたしみたいなただの素人が書いてるブログの部分転載料に5000円払ってくれるなんて、ありがたいことですよねえ。

なお、他にまとめサイト2件についても同様の請求を行っており、現在返事待ちです。「哲学ニュースさんは5000円支払いましたが……」って追加でメールを送っておこうかな。