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目からウロコの連続,
2016/11/24
レビュー対象商品: 経済数学の直観的方法 確率・統計編 (ブルーバックス) (新書)
長沼さん解説の特長の一つは、極度にシンプルかつ手作り感あるユニークなモデルを大胆に導入し、細部の差異は一旦ペンディングし、最短距離で対象の本質に一気に到達する戦略性にあると思います.その威力は本書においても遺憾なく発揮され、確率・統計の説明にまず艦砲射撃における誤差論から入り、正規分布を仮想の三角形分布と対比するなど目からウロコの連続で、金融デリバティブの手法を「絶対値ゲーム」と喝破している点など「なるほど!」と思わず膝を打ちました.私も正規分布曲線はどうも直感的には理解できていなかったのですが、その苦手意識は本書で払拭されました.主題であるブラックショールズ方程式は、竹内薫さんと高橋洋一氏の共著で、難解だが割と簡単に解けると書かれていたと記憶してますが、完全理解とは言えないものの、そのイメージは掴めたつもりです.それにしても、著者は30年ほど昔は「経済学への位相空間論の適用など衒学的」と批判してましたが(当時は私も理解してない癖にそれに同意してました)、本書では「経済はデジタル量なので、厳密に扱うには位相論が必要」など、そのスタンスはかなり進化したようです.
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