「まとめ記事サイト」掲載停止 大手サイトで相次ぐ

「まとめ記事サイト」掲載停止 大手サイトで相次ぐ
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大手IT企業、ディー・エヌ・エーで明らかになった「まとめ記事サイト」の掲載停止の問題が、ほかの大手のサイトでも相次いでいることがわかりました。
この問題は、ディー・エヌ・エーが、医療関連などの情報をまとめたサイト「WELQ」など合わせて10のサイトで、根拠が不明確な記事を載せていたなどとして掲載を停止したものです。

こうした問題は、ほかの大手のサイトでも相次いでいて、このうち、情報サービス大手、リクルートホールディングスは、グルメや美容などの情報サイト「ギャザリー」で、今月1日以降、健康に関するおよそ1万6000に上る記事の掲載を一時、停止しました。

また、IT大手のサイバーエージェントは、情報サイト「Spotlight」で、医療や健康を扱った記事の一部について、今月1日以降、掲載を一時、停止しました。

さらに、IT大手のヤフーは、女性向けの美容情報などをまとめたサイト「TRILL」で、写真を掲載する際に権利を持つ人から使用の許可を得ていないケースがあったとして、ことし10月に記事の一部を削除したということです。

こうした「まとめ記事サイト」では、検索サイトで上位に入ると広告収入の増加につながるため、医療や美容、健康など読者の関心が高い記事が多く掲載されていますが、信ぴょう性など情報の品質管理が外部のライターに任せきりになるなど、専門家の間では管理体制のずさんさが指摘されています。

「まとめ記事サイト」とは

大手IT企業などが運営する「まとめ記事サイト」は、さまざまな情報をテーマごとにまとめたサイトで、手軽に情報を得られるとして人気を集めています。

図書館や博物館で資料の収集や管理を行う専門職であるキュレーターを由来とした「キュレーションサイト」とも呼ばれます。

こうした「まとめ記事サイト」は、アクセスが増加すれば広告収入が増える仕組みになっています。

このため、検索サイトのランキングで上位となるような医療や美容、健康などに関する記事が多く掲載されていますが、記事を選ぶ際の基準は各社とも明らかにしていません。

記事は外部のライターが1本当たりいくらという形で執筆するケースが多くなっていますが、記事の監修がずさんで、内容の誤りや記事の転用といった問題が起きています。

専門家は、サイトを運営する側がライターに対し頻繁に検索されそうなキーワードを盛り込むよう記事を発注しているケースも少なくないとしていて、ネット上であふれる情報の在り方が問われる事態となっています。
日々のニュースをスマートフォンのアプリで見ているという20代の女性は「ネットの情報は本当のことだと思って見ています。間違ったことが載っているかもしれないと思うと怖いですね」と話していました。
また、ふだんからスマートフォンで情報を得ているという40代の男性は「電車に乗っているときなど、移動時間にニュースを見ることが多いです。信ぴょう性が低い情報があることはわかっていますが、手軽で情報も見つけやすいので頼ってしまいますね」と話していました。
目黒区のクリニックで院長を務める桑満おさむさんは、今回問題となった「WELQ」に、過去に自身のブログで紹介した日焼けの対処法が引用されたとき、「濡れタオルで冷やしましょう」という誤った治療法が勝手に書き加えられた経験があります。
これを読んで試した患者の中には、皮膚にタオルが着いてしまい、かえって患部が悪化したケースもあったということです。
桑満さんは「患者さんから『先生のブログで書いてあった処置をしてきた』など、身に覚えのないことを言われることがたびたびあった。医師は自分が出す診察や治療法に最後まで責任を持つ覚悟でやっていますが、このような形で間違った情報が出ると責任の所在がわからなくなります。ネットで治療法などを調べる人は急いでいて、早く手に入る情報を信じてしまいますので、とても危険だと思います」と話していました。

専門家は

インターネット上の検索エンジンの専門家で、WELQの問題点を指摘してきた辻正浩さんは「インターネット上で病気の名前を検索すると、真っ先にWELQの記事が多く表示される状態になっていた。病気の名前や症状の情報はニーズが高く、毎日数億回検索されていて、DeNAはアクセスが稼げるとわかって記事を大量に作成していたと思う。何より、医療という重要な情報にもかかわらず、情報が間違っていたのがいちばんの問題だ」と指摘しています。
そのうえで、「今回の問題で、インターネットでは信用できない情報すら検索結果の上位に表示されてしまうことが明らかになった。インターネットの情報すべてを信用することはできないし、なかでも、自分の健康や財産など、重大な情報についてはいろいろな情報を集めて自分で判断する必要がある」と呼びかけています。