眼鏡枠大手のシャルマン(福井県鯖江市)と合成樹脂製造の八木熊(福井市)は29日、X線を透過する外科手術用の器具を共同開発したと発表した。一般的なステンレス製と異なり、X線の診断映像に器具がほとんど映らない特長がある。X線の画像診断装置を使いながら手術ができる「ハイブリッド手術室」での使用を見込む。
器具は開創器と呼ばれ、手術部位を広げ固定するのに使う。カーボン繊維を配合した高機能樹脂製で、12月1日から国内向けに販売、1年間で5千万円の売り上げを目指す。先端の爪部分は取り外しが可能。手術内容に合わせた形状に取り換えて使う。
シャルマンが企画、デザインを担当、八木熊の樹脂射出成形加工技術と組み合わせて開発した。福井大医学部付属病院などが臨床実験や材料選定で協力した。
価格はハンドル部が約10万円、先端部が約5万円。先端部は心臓血管外科用と整形外科用の2種類を用意した。幅広い用途の開発を進め、輸出にもつなげる方針だ。
シャルマンは2012年に医療器具事業に参入。眼鏡の部品加工技術を応用し、350以上の商品を手掛けてきた。八木熊にとっては初の医療器具開発になる。