2016-12-05

女だけどセクハラが難しい

酔っ払いの多少の下ネタを笑って流せる程度の、ある意味でおおらかな、ある意味で毒された感覚は持っている。

くじらを立てるほどでもないから、不愉快不愉快だけれど笑って流せる。

酔っ払った上司が言う「ディープキスする?」という類の冗談は、正直どこの職場でもあり得そうな気がしているし、そんなの親戚のおじさんにだって言われてきた。

接待帰りの帰り道、「寒いから手を繋ぎたくなってきちゃったな」と言って、上司が私の手を掴む。

私はその手を払いのけて「あ、それは別料金なんで!」と冗談にしてしまう。

いつもそうやって誤魔化している。不愉快だけど、相手も酔っ払っているし、本気なわけはないんだし、強く言うと面倒臭そうだし……。

そうしてへらへらかわし続けている。

一瞬のことだ。その瞬間、とてつもなく不愉快なだけで、仕事をしているだけなら普通にいい人たちだ。

騒ぎ立てるほどのことでもない。

そう思いながら、今までやってきていた。

1週間前、新入社員女の子と、セクハラおじさんたちと一緒に飲む機会があった。

セクハラおじさんたちは例の如く、お酒冗談を巧みに持ち込んで、セクハラじみた言動を重ねる。

私の正面に座っていた新入社員女の子は、私と同じように笑いながら、ときに諌めながら、セクハラおじさんたちをかわし続けていた。

いつも自分がやっていることを、はじめて客観的に見た。

彼女は嫌そうな素振りも見せず上手く笑いに変えていて、なんだか場が盛り上がっているようにすら見えた。

彼女不愉快じゃないのだろうか?

みんなこれくらいのことは当たり前にかわせるのだろうか?

それとも私みたいに不愉快さを抱えながらも、かわしているのだろうか?

元気に笑う新入社員を見ながら、申し訳ない気持ちになった。

もし彼女不愉快さを抱えながらも、貼り付けた笑顔でこの場をしのいでいるのだとしたら。

もしそうなのだとしたら、その責任は私にもある気がした。

へらへら笑いながらかわし続けていたせいで、「ここまでは大丈夫」というラインを作ってしまったんじゃないか唐突に怖くなった。

いちいち騒ぐのは面倒くさいし、かわせるならかわし続けて適当にしておきたい。

でも面倒くさがってへらへら笑っていたせいで、私のサボりのせいで、誰かを困らせる日もそう遠くないように思われる。

騒ぎ立てるほどのことでもないけれど、うまくやりすぎても駄目な気がする。

仕事に影響が出るのは嫌だけれど、これが当たり前の対応と思ってもらっちゃ困る。

加減が分からない。

本当にセクハラが難しい。

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