【萬物相】韓国抗議集会のろうそくとたいまつ

【萬物相】韓国抗議集会のろうそくとたいまつ

 英国の労働党がロゴにたいまつを使用するようになったのは1918年のことだった。シャベルとペンの上にたいまつを立てたものだ。このロゴを62年間使った。労働党がロゴを変えたのは、サッチャー氏の保守党に政権を渡し、急進的なイメージを脱ぎ捨てることに躍起になっていたころだった。英国の国花であるバラに変えた。このとき「しめた」とばかりにたいまつを拾い、保守党のシンボルにしたのがサッチャー首相だった。その後は「自由のたいまつ」という表現を武器に共産主義を攻撃した。ドイツのベルリンの壁が崩壊したとき、「私たちのたいまつが、鉄のカーテン越しに自由の光を照らした」と述べた。

 古代のギリシャ、ローマにおいて、たいまつは生命を表わす道具だった。2個のたいまつを下向きにして交差させれば死を意味した。近代の市民革命で、たいまつは自由のシンボルだった。米ニューヨークにある自由の女神像の正式名称は「世界を照らす自由」だ。右手に掲げたたいまつに、その名称の意味が全て込められている。たいまつには、固定された理念がない。世の中をもう一歩、進ませる時代的な進歩精神と価値を表現する手段だった。

 たいまつは「照らす」だけでなく「燃やす」という意味も持つ。真理を明らかにしてうそを燃やすたいまつ、新たな時代を照らして古い時代を燃やすたいまつは転換期のシンボルだ。歴史の中で、たいまつは逆に他人を否定する差別と暴力のシンボルに転落することもあった。米国の白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」のたいまつ、ナチス・ドイツと北朝鮮世襲政権の不気味なたいまつ行進は、生命と自由を燃やし、世の中をはるかに暗くした。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】韓国抗議集会のろうそくとたいまつ

right

関連ニュース