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【経済】

新電力に原発の電力 経産省案提示 電源の選択肢 狭まる

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 経済産業省は五日、電力自由化で新たに参入した電力の小売会社にも、原発による電力の利用を促す方針を正式に示した。原発による電力を使いたくないという消費者の選択肢が狭まることになり、発電手法も選べるようになるはずだった自由化の趣旨に反するという批判も多い。

 経産省が同日、有識者会合「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会で示した。福島第一など原発にかかる費用を新電力の契約者も含めて幅広く負担させるため、代わりに販売価格を抑えた電力を新電力に提供する。九日に国民の負担規模を示す方針。

 この日の会合で、経産省は新電力が販売する電力の三割を、大手電力会社の原発などから拠出させる方針を提示。「ベースロード(基幹)電源市場」をつくり、原発に加えて、石炭火力や大規模な水力という天候に左右されない発電手法による電力を集め、新電力が調達できるようにする。

 新規参入した電力の小売事業者の中には自前の発電所を持たない企業も多く、大手電力の余った電力を集めた「卸電力取引所」などで販売する電力を買っている。しかし、大手電力は石炭火力など安い電力は自社の小売り部門で販売するため、卸電力取引所には石油火力発電など高い電力しか集まらない傾向がある。

 このため、新電力は販売できる電力の量でも料金面でも不利な立場。経産省は新電力の足元を見る形で、契約者に原発費用の一部を負わせる代わりに、販売価格を抑えた原発などによる電力の一部を、大手電力会社に拠出させる手法を提案してきた。

 

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