他人から「あなたは〇〇な人だね。」と言われ、その内容が自己イメージとかけ離れていてショックを受けたことはありませんか?
また、「自分は他人からどう見られているのだろう?」と考えたことはありませんか?
人は、「自分のことが一番よく分かっている」と思いがちです。
しかし、自己イメージと客観的なイメージがかけ離れていたり、自分の知らない自分を他人が知っていたりということは、珍しくありません。
ジョハリの窓は、自分や他人が知っている「自分」をカテゴリー分けすることで自己分析する手法として、会社の社員研修などで活用されています。
この記事では、ジョハリの窓の概要と自己分析のやり方、質問項目について紹介します。
ジョハリの窓とは
ジョハリの窓とは、自分を4つの窓(カテゴリー)に分類して、他人との関係を通して自分への気づきを促すためのツールです。
ジョハリ(johari)は、アメリカの心理学者であるジョセフ・ルフト(Joseph Luft)とハリー・インガム((Harry Ingham)の名前を組み合わせたものです。
ジョハリの窓では、自分について、自分が知っている自分と、他人が知っている自分を組み合わせて次の4つの窓に分けます。
- 解放された窓(公開された自己、open self):自分も他人も知っている自分
- 盲点の窓(blind self):他人は知っているが、自分は知らない自分
- 秘密の窓(隠された自己、hidden self):自分は知っているが他人は知らない自分
- 自分も他人も知らない自分(unknown self):自分も他人も知らない自分
このように、4つの窓(カテゴリー)に分けることで、主観的に見た自分(自分で見た自分)と客観的な自分(他人から見た自分)を見比べることができます。
4つの窓のうち、解放の窓(自分も他人も知っている自分)の領域を広げていくこと、つまり、自己開示して他人が知っている領域を広げるとともに、他人の指摘を聞き入れて未知の自分に気づくことで、円滑なコミュニケーションや持っている能力の発揮につながると考えられています。
ジョハリの窓の特徴
ジョハリの窓は、複数の相手とのコミュニケーションの中で自己分析するツールです。
そのため、未知の自分に気づくだけでなく、コミュニケーション能力や、他人に受け入れられやすい自己開示のやり方、他人の意見を聞き入れる姿勢なども身につくと考えられています。
つまり、自己分析のツールでありながら、社会性を育む効果も一定程度はあると言えます。
ジョハリの窓のやり方
それでは、ジョハリの窓のやり方を見ていきましょう。
- 友人を集める(4人~10人)
- 一人ひとり紙にジョハリの窓を書く
- 友人と一緒に、性格に関する単語30個程度を書きだす
- 3.で書きだした単語の中から、自分の性格だと思う単語を選んで紙に書く
- 集まった友人一人ひとりについて、3.で書きだした単語の中から、その友人の性格だと思う単語を選んで紙に書く
- 5.で書いた紙を友人に渡し、友人から紙を受け取る
- 自分が書いた紙と友人から受け取った紙の両方に描かれている単語を「解放の窓」に書く
- 自分が書いておらず、友人が書いている単語を「盲点の窓」に書く
- 自分が書いていて、友人が書いていない単語を「秘密の窓」に書く
- 自分も友人も書いていない単語を「未知の窓」に書く
- 7.~10.を確認し、自分が知っている自分と、他人から見た自分の違いを確認する
- 結果を見ながら友人と互いの性格について話し合う
ジョハリの窓で自己分析する時の注意点
3人以下でジョハリの窓を使用した場合、相手の自分に対する見方が偏っているといった可能性があり、適切な自己分析に繋がらないことが少なくありません。
時間と手間はかかりますが、少なくとも4人以上のメンバーを集めるようにしてください。
一方で、10人以上で使用する場合は、何人の人が同じ単語を自分の性格として書いたかが分かるようにしておきましょう。
2人以上が同じ単語を自分の性格として書いた場合は留意しますが、1人のみだった場合はあまり注意する必要はありません。
ジョハリの窓は、相手の性格を書いて渡すという性質上、互いに気を使って本当のことを書かないことが多いものです。
そのため、あくまで表面的な自己分析に留まるものだと考えておく必要があります。
まとめ
ジョハリの窓について紹介しました。
ジョハリの窓は、複数の相手とコミュニケーションする中で、自己開示して受け入れてもらったり、相手の指摘を素直に聞き入れたりする必要があり、未知の自分に気づくだけでなく、そうした過程によってコミュニケーション能力や柔軟な思考も育まれていきます。
また、冒頭に書いたように、ジョハリの窓は自己分析のツールとして、会社の社員研修などで活用されることが多いツールですが、子どもに自分の性格や傾向を把握させることで、クラスメイトや勉強との向き合い方を考えさせる学校や塾も登場しています。