シリコンバレー、戦略コンサル他、世界の最前線で、超一流は何をしているのか?
答えは「Bullet Points(ブレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き”によるコミュニケーション。箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルなのだ。
メール、プレゼン、企画書・報告書、議事録。あらゆるシーンで活用されている。最新刊『超・箇条書き』の著者、杉野氏にその詳細を語ってもらう。
無難な表現は、誰からも否定されないが、
誰の心にも響かない
前回、隠れ重言(当たり障りのない冗長な表現)について触れたが、当たり障りのない表現を使ってしまう心理について話したい。
※前回の記事
ー箇条書きを見れば、その人の「思考の深さ」がわかる
(diamond.jp/articles/-/93838)
世の中には、もっともらしい箇条書きが溢れている。それはなぜか。もっともらしい箇条書きは、当たり前のことであるため、誰も否定しようがないからだ。
例えば、「一生懸命に効率的に業務を実行します」と言われれば、働く上では当たり前すぎて、誰も否定しない。誰からも否定されないからこそ、そのような箇条書きは“無難”だ。
このため、もっともらしい箇条書きは、無難に物事を済ませたい人の落としどころになっているのだ。
残念なことに、就職活動の自己PRや、企業の経営戦略の多くは、このような“もっともらしい”箇条書きになっている。これらは、特に誰からも否定されないが、誰の心にも響かず、世の中の何も変えることはない。
繰り返す。相手の心を響かせ、相手に動いてもらうために、自分の立ち位置を明確にしした箇条書きで伝える必要があるのだ。
そのときの最大の敵は、まわりの環境ではない。相手でもない。
最大の敵は、自分自身だ。それも“無難”な道を選ぼうとする自分だ。
単なる箇条書きを『超・箇条書き』として短く、魅力的に伝わるものにするには、“無難”を敵とすることが必要だ。
無難な道を選んでいないか。他人の目を気にして逃げていないか。
これを自分に問い続けるのだ。当たり前のこと、もっともらしいことだけを伝えるのであれば、そもそも伝える必要などない。
相手に伝えたいことがあるから、箇条書きにしようとしているはずだ。
『超・箇条書き』は相手の心に響き、そして伝わる。だからこそ、怖い側面があることはわかる。
だが、そこで無難に逃げ込もうとする自分に勝ってこそ、相手に深く伝わり、そして動いてもらえる。目の前のチャンスをつかむことができるのだ。
超・箇条書きとは、言葉遊びでも、単なる技術でもなく、相手のことをとことん考え、相手の情報処理を手助けする作業だ。
そして、相手に動いてもらうことによって、自分やそのまわりを変える。超・箇条書きとは世の中の変化をつくりだす作業ともいえる。それは同時に、自分の心を変えていく作業でもあるのだ。