パイオニア「S-PM50」、「S-PM30」。バーチカルツイン方式を採用したピュアモルトスピーカー誕生

バーチカルツインは20年ぶり、ピュアモルトは10年ぶりの復活

　パイオニアは、ブックシェルフ型の"ピュアモルトスピーカー"「S-PM50」と「S-PM30」を12月下旬に発売する。価格はS-PM50が￥372,000（ペア、税別）、S-PM30が￥190,000（ペア、税別）。

　S-PM50/S-PM30ともに2ウェイ3スピーカー・バスレフ型で、トゥイーターを中心に2基のウーファーを上下対称に配置したバーチカルツイン方式（仮想同軸方式）を採用しているのが特徴だ。

　同方式は低音がトゥイーターを中心に出ているよう聴こえ、同軸スピーカーと同等の点音源による明確な音像定位や、広い音場感を実現できるという。また、シンプルな設計のネットワーク回路で、正確な位相管理を行ない、「現場の雰囲気・空気を再現する音」を目指した。

　"ピュアモルトスピーカー"の名前の通り、エンクロージャーにはサントリーと協力してウイスキーの熟成に約50年間使用されていた樽を再利用した、ホワイトオーク材（ピュアモルト材）を使用している。通常のパーチクルボード（集成材）に比べ剛性が4倍、内部損失が2倍で余分な響きが少ない「理想的な特性の板材」とのことだ。

　ウイスキー用として役目を終えた樽を解体し、湾曲している板を重石とともに温泉に1ヵ月ほど浸す処理を行なうとまっすぐな形状に戻るそうだ。その側板を集成してできた1枚板を用いている。エンクロージャーを構成する各板の厚みは15mmで、S-PM50のバッフルのみ12mmを2枚重ねた24mmとしている。

　同社はバーチカルツイン方式とピュアモルト材を組み合わせることで、「コンテンツの情報を正確に引き出す」スピーカーを目指したという。

　50mmドーム型トゥイーターには、新開発の「ワイドレンジドライバー」を搭載。バイオマス素材のCNF（セルロース・ナノ・ファイバー）を混ぜこんだ振動板は、コンピューター解析で形状の最適化を行なっている。40kHzまでの高域再生に対応するほか、ウーファーとのクロスオーバー周波数を750Hzに設定し（同社スピーカーは通常2～3kHz）、トゥイーターが主要な帯域を受け持つことで、クリアーでヌケの良い高域を実現するとした。

　エンクロージャー内部のワイドレンジドライバー背面には、ピュアモルト材で作った独自形状のチャンバーを採用。ウーファーからの影響を最小化し、定在波を低減する役割りも担っている。

　さらに、上位モデルのS-PM50は、ウーファーとの時間軸特性をコントロールするため、ワイドレンジドライバーのボイスコイルをバッフル面より奥まった位置に配置。そこからの音の流れがスムーズになるよう、アルミダイキャスト製の「ウェイブガイド」を備えた。

　ウーファーは、振動板にアラミド繊維を用いて新たに開発したもので、S-PM50にφ130mm、S-PM30にはφ100mmのユニットを搭載。また、ウーファーとトゥイーターともに高強度のアルミダイキャスト製フレームを採用し、不要な共振を抑えている。

　ネットワーク回路は、S-PM50/S-PM30それぞれ専用に開発しており、高域/低域用で回路および基板を独立させ、クロストークの影響を受けないように配置した。また、高域用に高品位フィルムコンデンサーや、OFC線採用空芯コイル、低域用には OFC線採用ケイ素鋼板コアコイルといったこだわりの部品を用いている。

【S-PM50の主な仕様】
●型式：2ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット：50mmドーム型トゥイーター、130mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数：750Hz
●インピーダンス：4Ω
●出力音圧レベル：84dB
●再生周波数帯域：40Hz～40kHz
●寸法/質量：W237×H435×D344mm/13kg

【S-PM30の主な仕様】
●型式：2ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット：50mmドーム型トゥイーター、100mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数：750Hz
●インピーダンス：4Ω
●出力音圧レベル：83dB
●再生周波数帯域：50Hz～40kHz
●寸法/質量：W190×H357×D277mm/8kg