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<コツコツお得に 個人型確定拠出年金> (下)「投資」か「貯蓄」か 

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 個人型確定拠出年金(個人型DC)に加入する場合、商品などを決めるには、どんなことを考慮したらよいだろうか。

 「こつこつと老後資金を用意するにはお得ですが、仕組みをしっかり理解しないとメリットを十分には受けられません」。年金制度に詳しい名古屋市の社会保険労務士、高木隆司さんはこう話す。

 加入する場合、家計の状況を踏まえて無理がない範囲で毎月の掛け金を決めたら、続いて運営管理機関選びだ。運営管理機関とは、銀行や信用金庫、証券会社、生命保険会社などの商品を扱う機関のこと。

 個人型DCでは、定期預金や投資信託といった種類の商品ラインアップがある。一般的な金融商品選びと同じで、定期預金タイプは元本が確保されるが、投資信託タイプは損失を被るリスクがある。なので、個人型DCでも、リスクとリターンの兼ね合いについての考え方が、自分と合う商品を扱う運営管理機関を選ぶことが大切だ。

 日本では「投資」は控えめにして「貯蓄」に力を入れる人が多く、投資の経験がない人は、個人型DCを敬遠しがちだ。個人型DCは、加入者本人が自己責任で年金資産を運用しなければならないからだ。しかし、経済コラムニストの大江英樹さんは「DCの資金運用は株式投資などとは大きく違う」と指摘する。

 個人が株式売買をする場合には、どの企業の株式を買うのかや買い時、売り時を自分で判断しなければならない。これに対し、DCでは加入者本人が株式や債券などを直接、選んで買うわけではない。

 加入者は、掛け金の何割を定期預金タイプに、何割を投資信託タイプにと、配分比率を指定する。投資信託タイプの中にはさらに、国内企業の株式のみや、新興国銘柄中心など運用方針が異なるさまざまな種類がある。自分の考え方に合った組み合わせになっている商品を選び、配分比率を決めておけば、後は運用されるという仕組みだ。

 投資信託も選ぶ種類によってリスクの大きさは異なってくる。大江さんは「自分がどこまでリスクを許容できるかを考えることが運用商品選びでは重要」と指摘する。

 「リスクを負うのは嫌。税制上のメリットだけを享受したい」という人は、定期預金タイプだけにして、投資信託タイプには手を出さないことも可能だ。

 加入者が負担する手数料も考えたい。口座開設の手数料は、ほとんどの運営管理機関が二千七百七十七円だが、毎月かかる費用は運営管理機関によって三百〜四百円の違いがある。

 投資信託タイプを選ぶなら、信託報酬の違いもチェックするとよい。個人型DCの積立期間は長いので、毎月数百円の差でも、通算すれば数万円以上の違いになることもある。

 運営管理機関の多くは、営業拠点に個人型DCを説明するスタッフを配置していない。そのため、加入を検討する人は、各機関のホームページ(HP)で調べたり、資料請求したり、コールセンターに電話したりして勉強する必要がある。

 NPO法人確定拠出年金教育協会(東京都中央区)は、運営するHP「イデコナビ」で情報をまとめている。運営管理機関や手数料、商品ラインアップ、商品ごとの信託報酬などが掲載されている。

 (白井康彦)

 

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