オーストリア大統領選 “極右”候補の敗北確実 欧州に安ど感

オーストリア大統領選 “極右”候補の敗北確実 欧州に安ど感
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ヨーロッパ中部のオーストリアで行われた大統領選挙で、難民や移民の受け入れの厳格化を主張し、国内外から極右と指摘されてきた右派政党、自由党の候補の敗北が確実になりました。ヨーロッパでは、ほかの国々でも難民などに不寛容な右派政党が台頭しているだけに安ど感が広がっています。
4日投票が行われたオーストリアの大統領選挙は即日開票され、内務省の発表によりますと、これまでのところ、緑の党の出身のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が51.7%、右派政党、自由党のノルベルト・ホーファー氏が48.3%の票をそれぞれ獲得しています。

現地の公共放送は、ファン・デア・ベレン氏が勝利を確実にしたと伝え、これを受けて、ファン・デア・ベレン氏は「すべての国民にとっての大統領になりたい」と勝利を宣言し、ホーファー氏も敗北を認めました。

今回の選挙では、当初、難民や移民の受け入れの厳格化など、排外的な主張を掲げる自由党のホーファー氏が支持を伸ばすと予想され、欧米のメディアは「EU=ヨーロッパ連合で初めて極右の国家元首が誕生する可能性がある」と伝えていました。

しかし、投票日に行われた世論調査では、有権者の多くが自由党の台頭に強い危機感を抱いて投票したと答えており、ファン・デア・ベレン氏がホーファー氏に競り勝つ形になったと見られています。

これを受けて、EUのトゥスク大統領は「多くの困難に直面する今こそ、各国がともに問題の解決を探り連帯を維持するため、オーストリアの建設的な貢献が欠かせない」と述べ、勝利を歓迎しました。

ヨーロッパでは、来年選挙が行われるフランスやオランダなどでも、難民や移民に不寛容な右派政党が台頭し、各国はオーストリアの選挙の行方に神経をとがらせていただけに、安ど感が広がっています。

独新興政党の党首は遺憾の意

オーストリアの大統領選挙で自由党のホーファー氏が敗北したことを受けて、隣国のドイツで難民の受け入れに反対し、支持を伸ばしている新興政党「AfD(アー・エフ・デー)=ドイツのための選択肢」のペトリ党首は4日、オーストリアのテレビ番組に出演し、「ホーファー氏の新大統領への就任を祝うことができなかった」と述べ、遺憾の意を示しました。
一方で、ペトリ党首は「有権者のほぼ2人に1人が既存の政党に反対すると投票したことも事実だ。こうした動きはオーストリアだけのものではなく、ドイツでも続いていくだろう」と述べ、アー・エフ・デーを含め、ヨーロッパ各国で既成の政治に対抗する政党が支持を拡大していくとの見方を示しました。