【ニューヨーク=大塚節雄】トランプ次期米大統領は4日、米企業が工場を海外に移転した場合に「(その企業が)米国に輸入する製品には国境で35%を課税する」と表明し、企業に米国内へとどまるよう改めて求めた。ツイッターに投稿した。トランプ氏は米空調大手キヤリアのメキシコへの工場移転を阻止しており、今後も国内の雇用維持のため強硬手段をとる姿勢を強調した。
トランプ氏は米国内で企業が設備投資や事業展開をしやすくするよう「事業に関わる税金や規制をかなり減らす」との政策対応の方向性を説明した。そのうえで、米国外への工場移転に伴って従業員を解雇し、他国の工場から製品を米国に輸入する動きを「報復や影響なしにできると思うのは間違いだ」と警告した。
トランプ氏は大統領選中から、メキシコへの生産移転を決定したキヤリア社を繰り返し批判。強引な口先介入と併せて米国に残った場合に税優遇を与えるとし、キヤリアは移転計画を撤回した。
トランプ氏は1日にキヤリア社の工場を視察して演説し、海外移転する企業への報復措置を示唆していた。今回は35%の高関税を課す具体策を初めて明示した。
企業を引き留めるトランプ氏の強引な手法には「米国の資本主義を永遠に傷つけかねない」(サマーズ元米財務長官)といった批判が出ている。